未実施減算も新設
21年度の介護報酬改定において、引き続き大きな柱となっているのは「自立支援・重度化防止の推進」。その対策の重要な取り組みの1つに口腔や栄養ケアへの取り組みが挙げられている。特に栄養は、状態が不十分だと筋力の低下や病状の悪化を招くなど、弊害が大きくなる。ADL、QOLの向上を図っていくためにも、口腔ケアとともに、重視する方向性が示されている。
自立支援・重度化防止の取組において柱の1つとなるリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取り組み。これらは、一体となって運用されることで、より効果的な自立支援・重度化予防に繋がることが期待されている。特に栄養については、その重要性から、様々なサービス分野で、随所に盛り込まれている。
介護保険施設における栄養ケア・マネジメントの強化を目的に、施設系サービスでは、現行の口腔衛生管理体制加算と栄養マネジメント加算が廃止され、基本報酬に包括化される。
包括化は、基本サービスとしての提供を求めることを意味する。特に栄養ケア・マネジメントに関しては、「栄養ケア・マネジメント未実施減算」を新設。基本サービスとして、状態に応じた栄養管理の計画的な実施を求める姿勢が、強く打ち出されている。
栄養ケア・マネジメント未実施 減算[新設]14単位/日減算
なお、この減算の適用については3年間の経過措置期間が設けられる。
また、基本サービスとしてのサービス提供に関しては、人員基準に現行の栄養士に加え、管理栄養士の配置を義務づけることが記載された。基本サービスとして状態に応じた栄養管理の計画的な実施が求められると同時に、入所者全員への丁寧な栄養ケアの実施や体制の強化などが、評価される。
CHASE前提 栄養系加算にも
要件包括化に伴い廃止される栄養マネジメント加算に代わり、栄養マネジメント強化加算が新設される。
栄養マネジメント強化加算[新設]11単位/日
算定要件には、管理栄養士を入所者50人(常勤栄養士を1人以上配置し、給食管理を行っている場合には、70人)に1人配置すること。低栄養状態のリスクが高い入所者に対しては、医師、管理栄養士、看護師などが共同して作成した、栄養ケア計画に従って、食事の観察(ミールラウンド)を週3回以上行うこと。入所者ごとの栄養状態、嗜好などを踏まえた食事の調整などを実施することが示される。
さらに、これについても入所者ごとの栄養状態などのデータをCHASE(4月からLIFE)に提出、フィードバックを活用することも求めている。
通所介護や通所リハビリなどの通所系サービス、小規模多機能型居宅介護などの多機能系サービス、特定施設入居者生活介護などの居住系サービスでは、介護職員等による口腔スクリーニングの実施を新たに評価する。
口腔・栄養スクリーニング加算 (I)20単位/回 (Ⅱ)5単位/回
利用開始時と以降6ヵ月ごとに、利用者の口腔の健康状態や栄養状態について確認し、情報をケアマネジャーに提供している場合などが要件となる。