<連載第39回>あすの介護に 佐和子の ハートふるヒント

 

生き生きと生活できる環境へ

3月から生活維持向上倶楽部「扉」というデイサービスで週1回勤務している。

 

 

この事業所とのご縁は認知症啓蒙活動・ラン伴で、あるメンバーさん(事業所での利用者さんの呼び方)M氏を紹介され名刺をいただいた。すると肩書に語学講師担当と記入されている。名刺をいただいたが利用者と思え、名刺とご本人を何度も確認してしまった。M氏は高齢なスタッフと判断しそっと聞いてみると「いや利用者です」と紹介された。

 

 

現役時代、通訳などのお仕事をなさり現在までも英語が堪能であることで肩書に記入されていた。現役時代は多くの方と名刺交換をしたであろう。その馴染みある習慣的に行っていたことをデイサービスでもそのまま継続してもらう。肩書はメンバーさんの個性を生かして記入していた。

 

こんなことから、「扉」の活動に興味を持ち見学させていただいた。メンバーさんは来所すると、まず一日の自分の活動を自分自身が決める。スタッフに指示されるのではなく、大まかな予定は表示されているのでそれを見ながら自身で動いている。

 

 

だからあまりスタッフの声が聞こえず、メンバーさんは黙々と活動している。のこぎりを使い竹細工をする方、その竹細工に色を塗る方。洗濯物を干している方。昼食に添えるお漬物を切る方。本を読んでいる方。そしてこの間に静かに入浴もしている。

 

 

メンバーさん自身が一日の行動を決定し自ら活動することで、自主性を育み、メンバーさんは自身の活動を役割と思い率先して行動する。それが結果的には喜びとなる。

ある日メンバーさんが「俺が焼いたんだ!美味しいぞ!」と、ホットプレートでクレープを焼いてくれた。食べている私の顔を見て「どうだ!美味しいだろう!」と嬉しそうに聞いてきた。このように、どのメンバーさんも生き生きしている。

 

 

勤務にあたっては介護者として存在し必要な時に看護師目線で必要な医療をお願いしたいと言われた。看護師一年生の私には経験値がなく「必要なときに」がなかなか難しいと感じながらもスタートするが、難しいのは長年培ってきた介護経験の方だった。メンバーさんが喜びを実感できるケアとはを改めて考えてみようと思う。

 

 

女優・介護士 北原佐和子氏

1964年3月19日埼玉生まれ。
1982年歌手としてデビュー。その後、映画・ドラマ・舞台を中心に活動。その傍ら、介護に興味を持ち、2005年にヘルパー2級資格を取得、福祉現場を12年余り経
験。14年に介護福祉士、16年にはケアマネジャー取得。「いのちと心の朗読会」を小中学校や病院などで開催している。著書に「女優が実践した魔法の声掛け」

 

 

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