30年に150棟運営へ

 

T.S.I(京都市)は3月19日、東証マザーズ市場に上場した。公募価格2000円に対して、初値は4000円を付けた。同社は2010年に設立。「アンジェス」のブランドでサービス付き高齢者向け住宅を24棟・746室運営している。上場の経緯、今後の施設運営などについて、北山忠雄社長に話を聞いた。

 

北山忠雄社長

 

 

──運営している施設のエリアについて。

北山 関西地方14棟、中国地方4棟、中部地方5棟、関東地方1棟を運営している。昨年11月、「アンジェス相模原」(神奈川県相模原市)を開設して関東エリアに初出店した。今年度は滋賀県2棟、愛知県1棟、静岡県1棟開設する予定だ。上場に合わせて、既存施設の近隣県でまだ開設していない東京、大阪、岐阜にも出店していきたい。今後2~3年は年間5棟程度の新設を予定している。10年後には運営施設150棟を計画している。

 

開設1棟目の施設「アンジェスおごと」外観

 

──上場の理由は。

北山 高齢者施設の運営はオーナーが建てた施設を借りて運営するのが基本パターンだ。上場企業となることで、全国に展開する際に本社から離れた地域のオーナーとも安心して交渉ができるようにした。新しいエリアでは、自社で土地を購入し施設を開設してから、近隣の地主などに売却しスピード展開したいと考えている。また、上場企業が一括借り上げをする方が、銀行からの融資が容易になるケースもある。

 

 

 

──上場することで株主から利益を求められる。

北山 当社のサ高住は全て30床程度。これまでの実績では、開設から約1年で稼働率が97%。新規開設から半年程度で単月黒字化、1~1年半で投資分を回収している。1棟あたりの売上指標が年間約1億円で、粗利が2000万円を目安としている。高齢者施設運営はストックビジネスでもあるため、施設数を増やして利益を伸ばしていきたい。

 

 

 

──30床程度では非効率と言われるが。

北山 施設の建築費を考慮すると、小規模の施設は投資コストが低く、回収率が高い。当社は子会社に建築会社があり、29床1000平米未満のサ高住の建築に特化している。このモデルが、最もリーズナブルに建築することができ、部屋数も獲得できる。同じパターンで建設するため、高品質の設備で低コストの建築が可能だ。パターン化したことで、投資コストは坪単価55万円からと、大手と比較すると20~40%低くなるケースが多い。当社で土地を購入して施設を運営しても、採算が取れる仕組みになっている。

 

 

 

──子会社の建築会社については。

北山 高齢者施設の運営を始める前は、不動産開発、分譲住宅などを手掛けていた。当時の会社の理念は、「愛ある住まいの提供」であり、どのような生活がしたいかをヒアリングしながら図面を引き、実生活を重視した住宅を建築していた。高齢化に伴いこれからは生活に介護が入ってくると考え、高齢者施設を運営するようになった。現在の理念は「愛ある日々のお手伝い」であるため、生活を大事にするという根幹は変わっていない。

「愛ある日々のお手伝い」の理念でケアを提供

 

開発から建築・運営まで一気通貫させているが、1番大切なことは運営だ。介護を最優先とし、建築がサポートすべき。また、建築会社としては、建てるだけでなくグループ会社が25年間借り上げることで信用を得ることができる。

 

 

4棟1チーム構成 市内でドミナント

 

──小規模施設のドミナント展開について。

北山 当社では1エリア4棟のチームで主に市内でドミナント展開している。4施設あれば120床を運営していることになる。1棟ごとで全てを解決するのではなくドミナント運営により、施設間のスタッフの協力体制を整備できる。小規模ドミナントにすることで、施設・施設長が増えるため職員のキャリアプランも構築できる。入居者は自分が住んでいる地域の施設を希望する傾向が高く、弊社では入居者を市区内で募集している。満床時には近隣の施設で待機してもらうことも可能だ。

 

 

 

──看取りについては。

北山 看取り率は一昨年33.7%、昨年は新型コロナの影響で病院から戻れない利用者がいたため30.4%だった。看取り率は高水準だが、「ここで最期を迎えたい」という希望に応えるため、さらなる看護師の採用に注力していく。看護師を増員し、医療体制を強化することによって、受け入れ可能な入居者を広げることができる。また、ケアマネジャーが状況把握・安否確認などをメインで行っていたが、看護師の方がスムーズに連携医師と情報共有できる。

 

 

 

──人材採用について。

北山 昨夏から社員紹介制度の手当の拡充を行ってから、紹介により入職するケースが増えている。手当の対象は紹介したスタッフのみだったが、入職してくるスタッフも対象にした。手当を拡充したのは、スタッフに還元したいと思ったこと、人材会社を通じた紹介よりもスタッフから紹介された人材の方が意識が高い傾向にあることなどが理由だ。また、無資格で入社した職員のサポートにも力を入れている。正社員として雇用し、資格取得のための費用を付与している。入社後2ヵ月間程度、週2~3日学校に通い、働きながら初任者研修を取得できる環境を提供している。

 

 

 

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