簡易キットで抗原検査も

全国で医療・福祉関連事業を展開する「湖山医療福祉グループ」は、新型コロナウイルス感染症の有無を調べるPCR検査装置を導入した。2月中旬から3月31日までに、グループに属する法人が運営する4病院、2診療所、23の特養・老健の計29施設への導入を完了。合わせて抗原検査を行う体制も整え、グループ内でのスクリーニング、クラスター化予防を徹底している。

 

湖山泰成理事長

 

 

一連の体制整備について湖山泰成理事長は、「徹底した感染予防対策をした上で、必要に応じ、適切なタイミングで検査を行うことが不可欠と判断した」とコメントする。公費対象のPCR検査や一部自治体が独自に行う社会的検査もあるが機会が限られる。継続的に随時、検査が行えるようグループとして取り組むことを決めたという。

 

 

今回、機器やキットの選択にあたって最も重視したのは、「すぐに結果が出ること」。症状が出たり、感染の疑いがある場合、外部でPCR等の検査ができたとしても、結果が出るのは翌日以降になる。当日、結果が得られる体制であればゾーニングなどクラスター化防止の対応を即日、行えるためだ。

 

 

導入したPCR検査装置は米アボット社製。厚労省が昨年、医療機器として認可した。標準的な検査手段のPCR法と同様にDNAを採取・増殖させウイルス感染の有無を調べるもので、最大13分と短時間で陽性か否かを判別できるのが特徴。
装置の価格は1台が約150万円で、試薬等の消耗品が24回分で約15万円。医薬品卸を通じて各施設が購入する。

 

導入されたPCR検査装置

 

対象者は症状から感染が疑われたり、医師が必要と認める利用者と、その濃厚接触者も。例えば、特養の場合、直接ケアを行うスタッフや同ユニットの入所者も対象とする。検査は完全防護した医師や看護師などの医療従事者が鼻咽頭からスワブ(綿棒)で粘液を拭って採取、装置にセットして行う。

 

一方、抗原検査の実施については、グループの全事業所を対象に体制を整備した。抗原検査にも使用を医療従事者に限定した製品はあるが、選択したのは「誰でも使える」検査キットで、鼻ぬぐい液を鼻腔からスワブで採って検査を行う。販売を行うALSOKから一括購入し、希望する事業所に送付。各事業所判断で利用者やスタッフ、その家族にも使用する。

 

 

 

「安心」を担保する

 

施設の新規開設時には、関係者全員に対して抗原検査を実施することも取り決めた。「スタッフや入居者、その家族に至るまで関わる人、全てが安心してスタートを切って欲しい」との考えが背景にある。

 

 

今回、一連の検査体制を整えるため投じた資金は、グループ全体で約1億円。今後は従来通り万全な感染対策を取りつつ、導入した抗原検査とPCR検査とを併用して適宜実施し、「クラスター化リスクを最小限とする」構え。PCR検査装置についても、「100床以上を目安に、特養等の施設への導入をさらに拡大していきたい」とする。

 

 

 

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