放課後等デイ・訪問看護を継承
千葉市を拠点に在宅サービスなど約70拠点を展開するドットラインは、M&A・事業承継で拡大し、市内の地域包括ケアシステムの構築を目指す。垣本祐作社長に事業戦略について聞いた。

垣本祐作社長
──事業内容は。
垣本 高齢者領域では訪問看護を中心に、訪問介護、訪問診療などの在宅サービスを、障害者領域ではグループホームのほか、放課後等デイ、就労移行支援・自立訓練事業などを運営している。障害者グループホームは18拠点のうち3棟が事業承継した物件で、今年中に新たに12棟新規オープンする予定である。
直近のM&Aでは、2月に千葉市・船橋市・習志野市・鎌ケ谷市で放課後等デイを運営するノビルキッズを事業譲受した。それにより放課後等デイは15施設となった。また、3月には八千代市・四街道市エリアで最大規模の訪問看護事業所2事業所を事業譲受した。これにより、訪問看護、障害者グループホーム、放課後等デイは千葉県最大級の規模となった。

2月に事業譲受した「ノビルキッズ」
──なぜM&Aなのか。
垣本 人の命にかかわる医療や介護において、良いサービスとは、地域のニーズに素早く対応できることであると考える。そのため、自社で事業の多様化をしていれば、スピーディーに対応できる。また、医療・介護のような対人援助で必要なことは、安心してサービスを利用してもらうこと。選択肢を多く持てることで、他のサービスが必要になった時もワンストップで介入できるので安心感につながる。
医療・介護連携では事業者同士の連携が不可欠だが、理念や経営方針、連絡ツールが異なる者同士が連携するには限界があり、自社でトータルなサービスをできることが2025年問題への解決の近道だと考える。
──M&Aによって得られた効果は。
垣本 事業拡大に伴い、少しずつ知名度が高まり、2年ほど前から人材採用に効果が現れた。本部で一括採用できるのもメリットである。最近月間150件〜200件の採用問い合わせがある。毎月10〜20名採用しているが、そのうち1〜3割がスタッフからの紹介。これは地域密着の強みであり、特に専門性が高い業種はつながりを持っているケースが多く、採用コストが抑えられる。

事業拡大い伴い、人材採用に効果がでるようになった
──今後の買収予定は。
垣本 全国展開している事業者の不採算事業所を積極的に買収するなど、引き続き、千葉でのM&Aを強化する。特に今後ニーズが高まる訪問看護に注力する。今回の介護保険制度改正では、訪問看護の「看護体制強化加算」の要件に「看護師6割要件」が設けられたことで、新規の参入障壁が高くなるため狙い目である。