社会福祉法人江寿会(東京都江戸川区)のケアハウスアゼリーアネックス(同:以下・アゼリー)、トヨタモビリティ東京(以下・トヨタ)、地元スーパーのヤマイチの3者は3月より、買い物難民支援の一環で生鮮食品などの移動販売を開始した。地域高齢者の交流の場としても想定し、介護予防や社会的孤立の防止などにもつなげていく。
移動販売では、江戸川区に本店を構える地元スーパー「ヤマイチ」の商品を、スーパーの店員に代わってトヨタの職員が、アゼリーの駐車場にて毎週火曜日に露店販売する。商品は野菜・果物などの生鮮食品や米、菓子など約50品目。スーパーの店頭販売と同価格で提供している。第3回目の開催となる3月9日時点で、近隣住民や施設職員及び利用者を中心に、延べ200人ほどが来店。近隣住民からは、重量のある米など、持ち帰りに苦労するものの買い物に利用されているという。

近隣住民のほか、施設職員、施設利用者なども利用する
アゼリーの福原聡一郎施設長は買い物難民の支援を23区内で取り組む例は多くないとした上で、「住民の交流の場とすることで、コミュニティの発展に貢献したい。また、当施設には地域包括支援センターが設置されており、買い物のついでに気軽に相談ができる環境も整えていく」と話す。
移動販売が始まったきっかけは、江戸川区社会福祉協議会が運営する地域交流の拠点となる施設「なごみの家松江北」に、高齢者から「スーパーがなく買い物が不便」「コロナ禍で買い物に行くのが不安」という声が届いたこと。なごみの家は、区が推進する「地域共生社会の実現」に向けた事業の1つとして開設されたもの。交流の場の提供のほか、福祉に関することの相談窓口、地域の人や法人とのネットワーク構築などを行っている。

野菜、果物など生鮮食品も販売
また、高齢者からの相談に合わせて、トヨタから、CSR活動である『ジモトヨタ』が進展していない現状についても相談があった。ジモトヨタは店頭で買ったものを自宅に配送する取り組み。コロナ禍などの影響で利用が進んでいなかったという。そこで、なごみの家がヤマイチ、アゼリーをトヨタに紹介したことで、買い物難民支援のための移動販売というアイデアが生まれ、その実現に至ったという。
「取り組みは始まったばかり。集客などの課題について検討を重ねた上で、継続したい」(福原施設長)
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福原聡一郎施設長(左)なごみの家松 江北 小嶋亮平所長(右)