シェアハウスで支え合い

 不動産仲介・再生、老人ホーム紹介業などを手掛ける西都ハウジング(大阪市)は6月、60歳以上の自立、シングルの高齢女性とアジアの外国人介護職を対象にした女性専用のシェアハウス「コモンフルール」(同)を開設する。住民同士が支え合う住まいのモデルで、住宅確保困難者の課題解決と地域のコミュニティの促進を目指す。

 

コモンフルール外観

 

 

西都ハウジング

コモンフルールは、大阪市住吉区の築約60年の木造2階建てアパートを改装したシェアハウス。1階部分は60歳以上の女性向けの個室が3室(1部屋約13.65~14.56平米)、2階部分に外国人向けの個室6室(同7・5~9・1平米)が配置されている(家賃などは図表1参照)。

図1

 

 

大阪市立大学建築計画・構法研究室、一般社団法人大正・港エリア空き家活用協議会の協力を受けて開設された。

 

 

西都ハウジングのコモンフルール企画・運営責任者、松尾重信氏は「支え合いながら暮らせる環境がコンセプトです」と話す。外国人は、ゴミ出しのルールや、医療機関の受診の仕方、日常生活でわからないことがあれば、シェアハウスに住む高齢女性に質問ができる。高齢女性にとっては、日常の挨拶などが緩やかな見守りとなる。

 

 

 

地域交流イベントも
また、入居者と地域住民との交流も深めていく。1階のダイニングルームは、直接、外へ出られる掃き出し窓を設置。開放することでイベントスペースとして活用できる。外国人が故郷の料理をふるまう「アジアンキッチン」などの催しを実施し、地域コミュニティの活性化も目指す。

掃き出し窓とすることで、外に直接出られる開放的なつくりとなっている

 

 

外国人4割が入居拒否経験
開設のきっかけのひとつが、松尾氏が視察の一環で、カンボジアの介護士を養成する学校を訪れた経験だという。「『これから必要とされる外国人介護職の人々を、しっかり受け入れできる住環境をつくりたい』という思いが生まれました」と話す。現在、外国人労働者が賃貸物件を借りる際、断られることも多い。公益財団法人人権教育啓発推進センターの「外国人住民調査報告書」には、その現状2が示されている(図表参照)。

 

 

 

住宅確保困難者 補完し合う住居
もうひとつ契機となった出来事が、2018年の大型台風の影響で、住み替えを余儀なくされた高齢者の事例だ。「相談を受けた時は高齢者であることを理由に、住宅を見つけることができず、心残りとなっていました」(松尾氏)。高齢者も孤独死、家賃滞納などのリスクから、賃貸オーナーに入居を嫌厭される傾向にある。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が15年に実施した調査では、賃貸オーナーの70・2%が高齢者世帯の入居に拒否感を抱き、8.7%は単身の高齢者の入居を拒否しているという結果が出ている。

 

 

さらに、19年に「空き家となったアパートの扱いに困っている」という相談が同社に持ち込まれた。築60年の〝文化住宅〟と呼ばれるタイプで、設備・機能などの面で劣化していた。「高齢者・外国人介護職の住宅難、空き家問題という課題が結び付き、シェアハウスというアイデアが生まれました」リノベーションにあたっては、耐震補強や防火設備の設置などを実施。改修費は、国土交通省の「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」を利用し、助成を受けた。

 

 

現在、2人の高齢女性が入居を検討している。その内60代女性は、多世代居住や地域交流に興味があり、それを実現できる住宅を探していたという。外国人と暮らすことについては、「楽しみに思われているようです」と松尾氏は言う。今後は、SNSなどを通じ、入居者を募っていく。また、今回の経験を、不動産の仲介・活用提案業にも活かしていく方針だ。

 

 

 

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