<連載第40回>あすの介護に 佐和子の ハートふるヒント

施設開設の準備

5月上旬オープンの特別養護老人ホームの研修に日々参加している。私はデイサービスでの看護師勤務。ワーカーさん達は経験豊かな方や、ここで勤務するために初任者研修を受けてきた方、未経験の方もいる。

 

 

利用者様が自分らしく生き生きと過ごせる施設を目指し、皆でディスカッションしながら細かくケアの在り方などを作り上げている。

例えば、次のようなことを話し合う。ご利用者様が皆揃ったら、「おはようございます」のご挨拶はする?連絡帳は必要?連絡帳を記入している姿を見て、私の事書いているのかしら?なんて思わせたくないね。食事前には誤嚥予防に嚥下体操が必要かな?入浴のスタッフが履くサンダルやエプロンは自前?それとも施設で用意して貰う?自前にしたら、入浴当番でない人が急遽入るときに困るのでは?レクリエーションでは将棋の好きな人には是非やってもらいたいね。シアタースペース作って映画鑑賞もいいよね。都心の若者の集うこのお洒落な街だからこそ出来る支援とは?等々。

ワーカーさん、看護師、皆でオープンに向けて模索しながら作り上げている。

 

 

「今まで勤務していた事業所ではこうだったから」といった、既存の方法に囚われることなく、私たちのオリジナリティに溢れた、そしてもちろん利用者様が安心して過ごせる環境作りを考える。どんなに小さな物品であっても、本当にそれが必要か否か何故それが必要なのか皆で考え、その根拠を理解して必要があればそれを購入する。皆で必要と思い揃えた物を大切に扱う意識が育まれる。またチーム意識を高める大切な時間だと思う。

 

 

私自身オープン前の準備から携わるのは初めてで、スタートは緊張の連続だった。今は何度もディスカッションを重ねる中で、それぞれの人となりが見えてきて、みんな介護が大好きなんだなと感じる。スタッフ一人ひとりの利用者様と話している様子がイメージ出来るようになってきた。

 

 

この時間で風通し良い仕事環境やスタッフ間の信頼関係を構築され、居心地よく仕事ができるようになると感じる。私達が、生き生きと仕事をしている姿を見て、利用者様に「今日も元気に楽しく過ごせたわ!また来週ね!」なんて笑顔で送迎車に乗り込んで欲しいと思う。

 

 

女優・介護士 北原佐和子氏

1964年3月19日埼玉生まれ。
1982年歌手としてデビュー。その後、映画・ドラマ・舞台を中心に活動。その傍ら、介護に興味を持ち、2005年にヘルパー2級資格を取得、福祉現場を12年余り経
験。14年に介護福祉士、16年にはケアマネジャー取得。「いのちと心の朗読会」を小中学校や病院などで開催している。著書に「女優が実践した魔法の声掛け」

 

 

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