京都・北山に 全37室
「ファミリー・ホスピス」のブランドでホスピス住宅を運営する日本ホスピスホールディングス(東京都千代田区)は5月8日、京都市に「ファミリー・ホスピス京都北山ハウス」を開設した。同社としては19番目のホスピス住宅で、関西では第1号物件となる。住宅の特徴や、今後の関西での事業戦略について、三重野真執行役員に話を聞いた。

日本ホスピスHD 三重野真執行役員
退院後自宅に戻れぬ高齢者
――会社について教えて下さい。
三重野 名古屋で末期がん患者に特化したサービス付き高齢者向け住宅を運営するナースコールという会社がスタートです。ホールディングス傘下にはナースコールを含め2つの事業会社があり、前者は東海地域で、後者は首都圏でホスピス住宅を運営していました。4月1日に2社を統合してファミリー・ホスピスを設立しました。

建物外観
――ホスピス住宅とは。
三重野 末期がんなどで積極的な医療の必要がなくなった人は病院から出なくてはなりませんが、家族の負担の問題などもあり、全員が自宅に戻れるわけではありません。また、いくら優秀な在宅医や訪問看護師がいても、1時間に1回の痰吸引が必要になったような状態の人は病院に戻らざるを得ません。
加えて一般的な高齢者住宅ではターミナルケア・看取りの体制・ノウハウが十分ではなく、入居が難しいケースがあります。こうした中で増えている「病院ではない場所で、緩和ケアなど適切な医療対応を受けながら、残された時間を自分らしく過ごしたい」というニーズに応えるための住宅です。
――「ファミリー・ホスピス京都北山ハウス」について教えて下さい。
三重野 37室の住宅型有料老人ホームで、自社運営の訪問介護事業所、訪問看護事業所が併設されています。居室は約14平米と約23平米の2タイプ、月額費用は管理費・食費込みで前者が20万8600円、後者が22万8600円です。また入居時に「らいふプラン作成費」として22万円がかかります。
当社運営の全住宅で、館内厨房で自社スタッフによる手作りの食事を提供しています。いつ「最後の食事」になるかわかりません。可能な限り本人が望む食事を提供できる体制を整えています。
地元木材用い環境面にも配慮
――ハード面などで特徴はありますか。
三重野 京都産の木材を使用して建築しています。地元産の木材を使えば木材を建築現場まで運搬する距離が短くなりますので、CO2排出が減るなど地球環境に与える影響も少なくなります。
また、人工呼吸器などの医療機器を常に使用する必要がある入居者がいることを踏まえ、自家発電装置を備えています。各居室や共用部には自家発電装置からの電気が供給されるコンセントも設け、医療機器などはそちらに接続しています。自家発電装置の燃料は一般的にはガソリンや重油ですが、東日本大震災のときはガソリン不足が問題になったことなどを踏まえ、プロパンガスを採用しました。
――入居者募集については、どのような形で行っていきますか。
三重野 これまでは、病院からの問い合わせ・相談がメインでしたが、ここ1年間は、在宅医、ケアマネジャー、高齢者住宅入居相談事業者からの問い合わせ、紹介が増えています。関西でも、同様の形で入居者募集を行っていきます。
来月には神戸で新設
――関西での今後の事業展開は。
三重野 6月下旬に神戸市垂水区で新設の予定です。さらに今期中に大阪市平野区での開設計画があります。