兵庫県で訪問介護、訪問看護などを展開するロジケア(兵庫県芦屋市)は1日より、介護士、看護師によるコロナ対応専門チームを編成。事業所のある芦屋市と西宮市で、自宅療養となった高齢者を支援している。

ロジケア 佐野武社長
第4波による全国的な感染拡大のなか、兵庫県でも4月下旬から5月にかけて陽性者が増加。
「介護する家族が濃厚接触者となり、外出できない」「重症にもかかわらず入院先がみつからない」「高齢者本人や家族が感染し、従来の介護サービスが停止されている」などの理由で孤立してしまった在宅療養者が増えたという。同社は行政からの依頼をきっかけに、コロナ対応専門チームを編成した。
訪問介護士・看護師計3名が交代で陽性または濃厚接触者の在宅療養者を緊急支援している。同社の利用者以外に、他事業所の利用者や要介護認定を受けていない場合も対応する。
同社が事務局となり、クリニック、行政担当者、ケアマネジャーが連携。もともと借りていた空き家を拠点とし、他の職員とは接触しないようにした。他の一般の高齢者住宅には訪問しない専任のチームの編成は、西宮市・尼崎市・芦屋市の阪神南エリアでは初めての試みだという。期間は5月末まで。
「病床のひっ迫はメディアで報道されている一方、在宅療養者の実態は把握するのが難しく、緊急度・困難度もかなり高く問題は深刻だと感じる」(佐野社長)と語る。
専門チームを編成 2名1組週刊交代
5月20日までに22例を取り扱った。
大学生の孫と二人暮らしだった陽性高齢者は、在宅療養中に様態が急変。濃厚接触者となった孫は、症状が悪化していく高齢者をただ見ていることしかできない状態だったという。同社がサービスに入り、ようやく入院先が見つかった。
また他の事例では、介護してくれていた娘夫婦が陽性となり、濃厚接触者となってしまった高齢者が、デイケアの利用を停止せざるを得なくなった。
このような事例は行政や保健所から同社に情報が入る。芦屋市では「緊急一時保護事業」として、通常の介護保険の枠外で取り扱われる。西宮市とは新たに協定を締結して事業を開始した。
「在宅療養者の悲惨な状況を目の当たりにして、断るわけにはいかなかった。チーム編成の際には、引き受けてくれそうな職員に、個別に声をかけました。第5波、6波があった場合、それぞれの事業者が各地域で孤軍奮闘するよりも、感染リスクの低減という側面からも、行政および複数の事業者が連携し、対応できる仕組みを確立するべきだと思う」と佐野社長は話す。