顧客にとってのエクスペリエンス(経験や体験)が経済価値になるという観点で経済活動を捉える考え方を「エクスペリエンス・エコノミー」といいます。エクスペリエンス・エコノミーにおいては、コモディティ、製品、サービス、エクスペリエンスの順に価値が上がります。

 

 

 

例えば、コーヒー豆をバラ売りで売ると、コモディティとなり1杯分当たりの価格が1円にしかなりません。それをパッケージ製品にして売ると1杯分当たり10円、コーヒーにして売ると1杯当たり300円になります。さらに、それを高級ホテルのラウンジで提供すると1000円になる、という具合です。

 

 

元のコーヒーの材料は同じでも、ホテルニューオータニのラウンジで飲むと1000円の値段がつきます。そして注文する側も1000円を支払うことを許容しています。つまり、価値を認めているわけです。これが、エクスペリエンス・エコノミーの意味です。

 

 

これに目をつけて成功した典型例がスターバックスです。同社は、もともと豆売りから事業を始め、次に立ち飲み店を始めました。それから「第3の場所」のコンセプトを知って、今のスタイルになりました。

 

中目黒にあるスターバックス・リザーブ・ロースタリー/コーヒー1杯1200円より

 

その後、同社は、そこでコーヒーを飲む以外のエクスペリエンスができるという価値を加えました。例えば、無線LANが使えるサービスはスターバックスが始めたものです。また、その場で音楽CDが焼けるというサービスも一時期提供していました。

 

 

このように、その場のエクスペリエンス価値を上げれば、コーヒーの価格が多少割高でも、顧客は受け入れます。だから、スターバックスが一貫して試みているのは、どういうエクスペリエンスが顧客価値を上げるかです。

 

 

現代はモノ余りの時代であり、すぐに競合商品が互いに真似しあい、似たような仕様になります。そして、商品差別化の猶予時間がどんどん短くなり、その結果、最終的には価格競争になり、体力勝負に陥ってしまいます。こうした競争から脱却するための一つの手段が「エクスペリエンス・ビジネス」です。

 

 

村田裕之氏 村田アソシエイツ代表 東北大学特任教授

87年東北大学大学院工学研究科修了。日本総合研究所等を経て02年3月村田アソシエイツ代表。06年2月より東北大学特任教授。わが国シニアビジネス分野のパイオニアで多くの民間企業の新事業開発に参画。高齢社会研究の第一人者として講演、新聞・雑誌への執筆も多数。著書に「成功するシニアビジネスの教科書」(日本経済新聞出版社)など多数。

 

 

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