厚生労働省は6月8日、介護サービスを担う職員に対する利用者や家族によるハラスメントについて、新たに事例集を公表した。有識者で構成される検討委員会での議論を踏まえ、実際に生じたハラスメントの内容、発生までの経緯、発生後にとられた対応策などをまとめた。厚労省は、関係者に対し、ハラスメントの未然防止や対策の実施に役立てて欲しいと要請する事務連絡を行なっている。

 

 

 

 

事例集は、前年度までに作成されたマニュアルや手引きの解説への理解を深めるため、介護現場でのハラスメントなどの発生までの経緯やその後の対応、事例から学べる対策などを整理したもの。
施設・事業所の管理者や職員が自施設・事業所におけるハラスメントの予防や対策に向けた取り組みのヒントを得ること、また、事業所などが職員向けの研修を行う際に、参加者が議論をするきっかけとなること、ハラスメントへの理解を深める共通の素材などとして活用されることが期待されている。

 

 

掲載事例は、利用者による精神的暴力、セクハラ、家族による精神的暴力、セクハラ、の4つのハラスメントの区分ごとに整理され、また、その事例が発生した事業者のサービス種別も明記されている。

 

 

具体例としては、「特定の職員が利用者から暴言、嫌がらせを受けた事例」、「家族介護の困難さから職員に対する暴言のみならず、家族から利用者への虐待に発展してしまった事例」、「介護保険制度への理解不足をきっかけに、家族による暴言へと発展した事例」などを紹介。
さらに、ハラスメントに結びつき得る事柄や、段階別に考え得る対応・対策などを「学びのポイント」として整理、掲載している。

 

 

 

この事例集は、令和2年度厚生労働省老人保健健康増進等事業「介護現場におけるハラスメントへの対応に関する調査研究事業」において作成されたもの。三菱総合研究所ヘルスケア&ウェルネス本部が、事業を受託、取りまとめを行なった。

 

 

■ハラスメントの定義
出所:厚生労働省資料

 

①身体的暴力
身体的な力を使って危害を及ぼす行為。
例: コップを投げつける/ 蹴る/ 唾を吐く

 

②精神的暴力
個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為。
例: 大声を発する/ 怒鳴る/ 特定の職員にいやがらせをする/「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求する

 

③セクシュアルハラスメント
意に添わない性的誘いかけ、好意的態度の要求等、性的ないやがらせ行為。
例: 必要もなく手や腕を触る/ 抱きしめる/ 入浴介助中、あからさまに性的な話をする

 

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