主要サービスに関する改定動向について、今回は【グループホーム】がテーマです。グループホーム(以下GH)は横断的な影響の強いテーマがいくつも示された注目サービスの1つとなりました。まず、基本報酬単位についてですが、それほど大きな動きとはなりませんでした。3単位もしくは4単位のプラスであり、約0.4%のプラス改定率で、全体平均0.7%を下回っています。
ただし、各種の加算や見直し項目については独自の見直し項目が多数で、全サービスに共通する12項目に加えて、GHに関連した見直しポイントは21項目と、変化の大きいサービスとなりました。事業者は中身をしっかり読み解き、対応方針を定めていく必要があります。
特に注目すべきGH特有の4つの見直し項目を解説します。
まず1つめは、地域の特性に応じたサービス整備の観点から、ユニット数及びサテライトの考え方が見直されました。従来は原則2ユニットが定員上限であり、都心部に限定して3ユニットが認められていましたが、今回、原則3ユニットが定員上限となりました。
加えて、サテライトの考え方も本体が1ユニットなら1ユニット、本体が2ユニットなら2ユニット、本体が3ユニットなら1ユニットと、本体ユニット数を上限とし、かつ4ユニットを最大上限として見直されることとなり、本体2ユニットの場合は、管理者や計画作成担当者の兼務配置により、効率的な運営体制が可能となりました。
2つめは、夜間職員体制の見直しです。今回の改定内容の検討の場で最も議論が白熱した項目の1つでありますが、結果的には3ユニットの平屋で見通しが確保された設計の事業所に限定して、3ユニットで2名の夜間職員体制が認められることとなりました。ただし、その際、基本報酬単位はマイナス50単位となり、現実的に取り組む事業所は極めて少ないと予測されます。それでも24年改定における人員基準要件の大きな緩和に向けた1つの試金石となる見直し項目です。
3つめは、外部評価に係る運営推進会議の活用です。GHに毎年義務付けられている「第三者による外部評価」について、今回、自己評価を運営推進会議に報告し、公表することで代替できることとなりました。
4つめは、計画作成担当者の配置基準の緩和です。従来、1ユニットに1名の配置基準でしたが、今回、1事業所に1名の配置基準へと緩和されました。このようにGHは基本単位こそ微増に留まりましたが、独自の見直し項目が多く、柔軟な運営体制による効率的な運営実現が可能な改定となったと言えます。
斉藤正行氏 プロフィール
2000年3月、立命館大学卒業後、株式会社ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。