一般社団法人HAHA(東京都目黒区)は昨年1月より、住宅型有料老人ホーム「オーナーズテラス自由が丘」(同)を運営している。同施設は子育て中のシングルマザー向けの子育てシェアハウスにもなっている。高齢者はシングルマザーから、簡単な生活サポートや見守りを受けることができる。
入居後、自宅活用支援も
施設は、東急東横線の自由が丘駅から徒歩11分の立地。新築の木造3階建て一軒家の建物2棟から成る。
1階部分は共用のリビング(35.98㎡)となっており、近隣住民も参加できる趣味講座や、NPO法人Dカフェまちづくりネットワークが主催する認知症カフェ「Dカフェ」の開催場所として使用される。施設にはWi─Fi環境が整っており、見守り機器「パルモケア」などのIoT機器も導入されている。

自宅をシェアハウス化した場合の生活イメージ
総居室数は8室で、その内3室が子育てシェアハウス。月額賃料は7.7万円から16.4万円と、自由が丘駅周辺のファミリー向け賃貸の相場より低めに設定。シングルマザーが入居しやすくした。その分、高齢者に対して生活上の簡単なサポートを行うことが条件。「食事の際、予め準備された料理を高齢者の分も一緒に温めて提供する、などをしてもらいます」と伊藤敬子代表理事は話す。
「高齢者にとってはいつでも声を掛けられる若い世代の同居人の存在により、通常の住宅型有老より安心できる環境になっていると思います」。
また、子育て中の母親は、同じ境遇の母親同士だけでなく、同居する高齢者にも子育てなどの相談ができる。
「入居希望者は事前に面談し、しっかりとマッチングを行う点も普通のシェアハウスと異なります」。
入居した高齢者へのサービスには、「自宅のシェアハウス化支援」もある。伊藤代表理事が社長を務める不動産会社「ハピネスランズ」が、片付けや改装、運営・管理を行う。
シェアハウス化は、子ども部屋など使われていなかった居室を利用するため、自室などはそのまま残すことができる。これにより、「日中は住み慣れた自宅で過ごし、夜間はオーナーズテラス自由が丘に戻る」といった生活スタイルが可能になる(図表参照)。
一般に、高齢者が施設へ入居する際、大きな環境の変化が原因でリロケーションギャップ(住み替え後に発生する心身の不調)を引き起こすケースが多い。いつでも戻れる自宅があることで、その発生を抑制できる。
表面利回りは12~10%、オーナーの実質利回りは6~8%になるという。
自宅のシェアハウス化は収入確保のほか、税制面でもメリットがあるという。「先述のケースでは税制上、自宅が『セカンドハウス』に該当し、固定資産税の減税が受けられます」また、空き家発生の抑制にも貢献するとした。
法人では、自宅のシェアハウス化支援と住まいを同時に提供するモデルを、「オーナーズテラス」モデルとして、全国への展開を目指す。
オーナーズテラスは現在、2施設目の準備が進んでおり、2022年6月を目途に開設予定だ。

施設外観