2025年の社会保障給付費の再推計を!

6月25日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、2020年度医療費は前年度比1兆円超の大幅減となる見込みであることが報告された。原因はコロナ感染拡大による、患者の受診控えや、医療機関がコロナを受け入れるため手術などの通常医療を抑制したためだ。介護費もコロナによる通所サービスを中心に大きく減少した。

 

さて2025年が目前だ。私もその一員である団塊世代の800万人が25年には後期高齢者となる。社会保障給付費は過去最高の140兆円に膨れ上がると推計されている。
この140兆円の推計について振り返ってみよう。この推計は18年5月に行ったものだ。140兆円の内訳は年金59.9兆円、医療47.4兆円、介護15.3兆円、子ども子育ては10兆円、その他7.7兆円だ。当時の厚生労働省の説明によれば「社会保障給付費140兆円というのは、対GDP対比で21%、40年の推計でも24%。この水準は今のドイツに近く、フランスでは日本よりもっと高い・世界に類を見ない水準というわけではない」と楽観的な見通しをしている。

 

実は同じ推計は12年3月にも行っている。この12年と18年の推計を比較してみると以下のように18年の推計が下振れしていることに気づく。

 

医療では12年推計では54兆円が18年推計では47.4兆円と6.6兆円も減っている。この根拠は地域医療構想などの進展で病床機能分化による医療費の削減や、人口減による入院患者数の減少、後発医薬品の普及などを挙げている。また介護では12年の19.8兆円が18年では15.3兆円と4.5兆円も減っている。この理由は要支援者向けののサービスの市町村の総合事業への移管や、ゆくゆくは要介護1・2などの軽度者に対する給付絞込などを行うことで減るとしている。ただ唯一、子ども子育ては5・6兆円から10兆円へと上振れしている。これは2017年衆院選挙の当時の安部政権の公約の影響である。

 

しかしこの推計根拠はコロナで大きく変わった。まずコロナで地域医療構想はストップしている。一方、冒頭で述べたように受診抑制などで1兆円以上の医療費の減少も起きた。さらに後発医薬品企業の不祥事でその普及スピードも落ちている。同様に介護給付費についてもコロナの影響による落ち込み大である。

 

このように18年の推計根拠が大きく変わったため、25年推計を再度やり直す必要があるのではないか?再集計の時期はコロナの収束を見据えてではあるが、団塊の世代の先頭集団が75歳となる22年度には行う必要がある。
社会保障給付費の推計は24年の診療報酬・介護報酬同時改定の財源推計のためにも重要だ。

 

 

武藤正樹氏(むとう まさき) 社会福祉法人日本医療伝道会衣笠病院グループ相談役

1974年新潟大学医学部卒業、国立横浜病院にて外科医師として勤務。同病院在籍中86年~88年までニューヨーク州立大学家庭医療学科に留学。94年国立医療・病院管理研究所医療政策部長。95年国立長野病院副院長。2006年より国際医療福祉大学三田病院副院長・国際医療福祉大学大学院教授、国際医療福祉総合研究所長。政府委員等医療計画見直し等検討会座長(厚労省)、介護サービス質の評価のあり方に係わる検討委員会委員長(厚労省)、中医協調査専門組織・入院医療等の調査・評価分科会座長、規制改革推進会議医療介護WG専門委員(内閣府)

 

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