チャーム・ケア・コーポレーション最上級ブランド「グラン」
本紙「福祉施設・高齢者住宅定員数ランキング」(2021年8月4・11日合併号参照)で全国22位にランクインしたのがチャーム・ケア・コーポレーション(大阪市)。有料老人ホームに特化し、全国で4400室余りを運営している。今後の高齢者住宅開設などの事業展開について下村隆彦社長に話を聞いた。

下村隆彦 会長兼社長
コロナの影響で計画に遅れも
――チャーム・ケア・コーポレーションは6月30日が期末ですが、前期の高齢者住宅開設数は。
下村 5棟で全て首都圏での開設でした。計画ではもう少し多かったのですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、周辺住民への事業説明会が思う様に行えず、計画が先送りになった物件がありました。
チャーム・ケア・コーポレーションは今期(2021年7月~22年6月)は8棟、来期(22年7月~23年6月)は13棟の開設を計画しています。24年6月の100ホーム体制・売上高500億円が目標です。
――前期に開設した物件の中で特徴的なものは。
下村 今年3月に開設した「チャームプレミアグラン南麻布」です。当社ではこれまでチャーム・ケア・コーポレーションは「チャーム」「チャームスイート」「チャームプレミア」と価格帯に応じて3つのブランドで展開してきました。「チャームプレミアグラン」(以下/グラン)は、最上級ブランドとして19年8月に渋谷区松濤で第1号を開設しました。「南麻布」はグランとしては2棟目であり、今後も御殿山・池田山など都内でグランの開設予定があります。

10月開設予定の「チャームプレミアグラン御殿山」外観
――グランの特徴は何でしょうか。
下村 入居費用は、前払い金無しのプランで月額80万円~100万円程度です。ハード面では、今のところは1つ下のブランド「チャームプレミア」との明確な違いはありませんが、今後新設するグランについては、いくつかの特色を出していく予定です。
例えば、建物入り口の風除室に除菌効果がある薬剤のミストを噴霧する装置を設け、館内に入る人は自動的に感染対策ができるようにしていきます。もちろん新型コロナを考えてのことですが、コロナ収束後もインフルエンザ感染予防対策などに役立ちます。
また、川のせせらぎなどの穏やかな音や香りなど五感を通じて寛ぐことができるリラクゼーションルームや、昔の街の映像などを流して回想療法などができる部屋を設けていく予定です。
――新型コロナの話がでましたが、経営への影響は。
下村 入居率などはそれほど大きく影響を受けてはいません。高齢者住宅はコロナ禍だからといって利用控えが起こることはあまり考えられませんし、生活が建物内で完結するため自宅で過ごすよりも感染リスクという点では安全という見方もあります。チャーム・ケア・コーポレーションでも、見学希望があれば共用部だけに見学場所を絞って対応するなど工夫して営業活動をしてきました。
チャーム・ケア・コーポレーション新設に加えてM&Aも視野
――今後、高齢者住宅の開設を想定しているエリアなどは。
下村 現在運営する高齢者住宅を地域別に見ると、棟数ベースで約3分の2が近畿圏、約3分の1が首都圏となっています。まずはこれを半々にすることを目指します。介護業界内外に関わらず、社やブランドの知名度を上げるには、やはり最大のマーケットである首都圏でいかに存在感を示すかが重要と考えています。
当面は首都圏に注力 介護以外の柱、確率へ
当面は首都圏が開設の中心になるでしょうが、近畿圏でも兵庫県西宮市や宝塚市など「プレミア」や「グラン」に適した地域であれば開設を検討していきます。
また、アッパークラスを対象にした高齢者住宅はどうしても開設に時間がかかりますので、スピード感のある展開のためには中価格帯の物件にも力を入れる必要があると感じています。今後、チャーム・ケア・コーポレーションは新設に加えM&Aも視野に入れ、運営数を増やしていきます。
――今後、新規事業などの立ち上げ予定はありますか。
下村 現在、チャーム・ケア・コーポレーションは、高齢住宅運営事業が大きな柱であり、2本目の柱が、来年6月に開始する高齢者住宅の開発・卸を手がける「ヘルスケア・デベロップメント」事業です。これに加えて早期に第3、第4の柱を確立することが必要であると考えています。具体的な内容ついてはSDGsの枠組の中で考えていきたいと思いますが、介護関連事業に限定するつもりはありません。