函館市で 延べ2000人以上参加

 

多くの観光スポットを擁する北海道函館市。同市内にある「函館朝市」は推定で年間150万人が訪れる。同市場では高齢者を対象にしたイベント「おでかけリハビリ」を開催している。地元高齢者の健康維持と、商業の活性化が目的。利用者からの反響を受け、北海道全域での実施を目指す。

 

 

おでかけリハビリは、広い市場内を歩き、実際に商品を選び、金銭の受け渡しをするという一連の行動により、心身の機能維持に役立てようとするもの。函館朝市共同組合連合会の職員らが中心となり始まった。

 

現在、朝市職員や同地域の百貨店職員、PTから構成される、「おでかけリハビリ推進協議会」が主催している。地域の介護施設の入居者や高齢者に「お出かけ」の機会を提供することで、認知機能や身体機能の維持に役立ててもらうことが目的。

 

イベント当日は、同協議会が集合場所から市場までの送迎や、買い物をサポートするボランティアを手配する。利用者は市場内で買い物や食事を楽しめるほか、PTが実施する認知症予防教室などに参加可能。イベントの参加費は無料となっている。

 

コロナ禍前は、週1回のペースで実施。今年6月現在、ボランティアスタッフを含め延べ2000人以上が参加している。地域からの要望に応え、17年9月からは函館朝市だけでなく地元百貨店やスーパーでも開催するようになった。

 

この取り組みが始まった背景について、協議会の松田悌一会長は「地元客の来店が減っていました。そこで、地域貢献の一環として始めることにしました」と話す。新たな客層の掘り起こしや地域とのつながりの強化により、地域の商業を盛り上げることも目指しているという。また、買い物難民の解消やコミュニティ機能の希薄化といった地域課題の解消にも貢献する。

 

「介護施設などを送迎地点にしているため、介護保険を利用していない高齢者が施設と接点を持つ機会となります。いざ介護が必要となったとき、スムーズに支援につなげられると思います」(松田会長)。

 

 

 

介護職を支援 レク時間創出

施設の約9割はリピーターとなっている一方、開始当初の反応は鈍かったという。「函館市内には約400の介護事業所があります。そこにリーフレットを送りましたが、反応があったのは1割以下でした」(松田会長)

 

その原因を分析するため、協議会では施設アンケートなどを実施。その結果、人手不足で付き添える人員がいない状況があった。
そこで、協議会では当日付き添いを行うボランティアを手配。それを発展させ19年5月、おでかけリハビリに限らず、ボランティアが介護周辺業務を支援する「おたすけ」サービスを開始した。

 

同サービスは、おでかけリハビリの付き添いや、ベッドメイク、食事の片付けなどをボランティアが介護職に代わって行うもの。ボランティアは、地域の加盟店で使用できる商品券と引き換え可能な「お出かけコイン」を得られる。「介護職に本来業務に専念してもらうことで、レクの時間を創出。おでかけリハビリに参加してもらうことが目的です」(松田会長)。

 

朝市の様子。リピーターとなる利用者も多い

 

 

今後は、おでかけリハビリの参加店舗を増やし、北海道全域で展開していきたい考え。
また、参加した施設職員にもメリットが生じる仕組みを構想し、利用施設数の拡大を目指す。

 

 

 

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