第2回 管理職が抱えるストレスへの対処
不安を軽減する「対話」の学びと実践
経営者や管理職が抱えるストレスといえば、まずは入居率・利用率と収支の問題、次に人に関する問題として、管理職となる人材不足、職員不足・離職、人間関係、入居者・利用者とその家族からの要望・クレーム・苦情などが多いのではないでしょうか。
人に関する問題の多くは、まず対話をすることが重要です。時を置かず、迅速に対応することです。躊躇している間に問題は大きくなっていき、ストレスも大きくなります。しかし、そのような対話に慣れていない管理職は、ついつい先延ばしにしてしまいます。
その理由の1つは、対話のロールモデルが無いことです。管理職自身も上司との面談を受けたことがない、あるいはお客様へのクレーム対応の場面に同席したことがない。
そうすると、やり方・進め方がわからず不安な気持ちが先行し、なかなか対話に踏み出せないものです。対話をするにあたり身につけたいことは、傾聴のコツ、対話の手法、対話の進め方などです。研修や書籍から学ぶこともできますので、まず学んで、実践し続けることで、自分のものとなり、身についていきます。上司がその良きお手本となり育てていきたいものです。
また管理職の中には、管理職としての仕事と現場の仕事の両方をせざるを得ず、結果、長時間労働になることもあります。この場合は、管理職自身が仕事を抱え過ぎていないか、仕事の配分を見直す良い機会でもあります。管理職の仕事の第1は、「部下の指導育成」です。部下に、新たな仕事を任せ、責任を持たせることが、部下の仕事への意欲につながり、ひいては管理職の長時間労働の軽減となり、ストレス軽減にもつながります。
日々のストレス対策は、自己管理として十分な睡眠と規則正しい生活時間、バランスのとれた食事、適度な運動、リラクゼーション(呼吸法・漸進的筋弛緩法など)などで、生活リズムを整える事がストレス緩和につながります。
精神的に疲れている時は発散系のストレス対策を行うと効果的です。例えば、1人カラオケで歌いまくる、アクション映画を観る、ジョギング・ウォーキングなどで汗を流す、ゴルフの打ちっぱなし、「私ならできる」と毎日10回唱えるなど。身体的に疲れている時はリラックス系のストレス対策を。例えば、たっぷり睡眠をとる、ゆっくり半身浴する、温かい飲み物を飲む、深呼吸する、アロマの香りを楽しむなど。
人間の体と心は一体ですから、体を整える事で心が整い、心を整えることで体が整います。
※呼吸法・漸進的筋弛緩法のやり方は、けあ人財アカデミーHPのブログに掲載しています。
垣内イスズ プロフィール
けあ人財アカデミー合同会社・代表として、介護職の人財育成・メンタルヘルスケアに取り組んでいる。前職のパナソニック エイジフリー(株)で16年勤務し、介護付有料老人ホームの運営と人材育成の経験に加え、成功心理学・コミュニケーション心理学と言われるNLP(神経言語プログラミング)トレーナーとして、管理職育成・介護職員育成・メンタルヘルスケア研修、介護職のカウンセリングなどを実施している。