在宅医療の医療法人さくらライフ(東京都墨田区)は訪問先の在宅療養患者が病院での検査などで通院が必要な場合、医師や看護師が同乗し無料で送迎するサービスを開始した。居宅だけでなく高齢者施設入居者も対象とし、施設スタッフや家族の付き添い負担を軽減する。

春日部さくら病院
さくらライフグループは東京都練馬区・千葉県松戸市・埼玉県春日部市・群馬県吾妻郡・福島県いわき市で病院を運営。無料送迎サービスはこの5病院での検査などが対象となる。これまでも病院が抱える在宅患者の無料送迎は行っていたが、今後は訪問診療を手掛ける6ヵ所の在宅クリニックの患者も対象とする。
在宅クリニックは東京都墨田区・江戸川区、千葉県市川市・習志野市、神奈川県川崎市・相模原市にあり、総患者数は施設・在宅含めて約5000人。
送迎には寝たきりの人や車いす利用者も乗車できる車両を用意。体調悪化などに備え医師、または看護師が同乗する。待ち時間を無くし、検査から帰宅までをスムーズに行う。
同グループでは病院・クリニックのほか、有料老人ホームなどの高齢者施設も運営しており、グループの中田賢一郎代表は「ケアの現場は人手不足。通院付き添いなどで長時間スタッフが現場から離れるのは厳しい」と話す。

医療法人さくらライフグループ 中田賢一郎代表
また8月以降、全国的に新型コロナウイルスの感染者が拡大。ワクチン接種が完了している高齢者の通院に、未接種の家族が付き添うことでの感染リスクもある。送迎サービスにより地域の施設や家族の負担軽減、コロナの感染リスク回避にも寄与したい考えだ。
コロナ感染急増 在宅療養者支援
さくらライフグループでは新型コロナ感染者の在宅療養支援も開始した。通常の訪問診療後にコロナ患者の往診を実施している。
特に都心では新型コロナ感染者数が増加しており、重症化しても病院搬送さえも難しい状況だ。
「現状、行政から多く要請があるわけではないが重症者は増加傾向にある。各クリニックの院長と連携し依頼があればいつでも対応できる体制を整えている」(中田代表)
運営する病院では7月に承認された、重症化リスクの高い軽症から中等症患者向けの「抗体カクテル療法」の準備も進めているという。

常盤平中央病院