社会福祉法人日本介護事業団
つしま医療福祉グループの社会福祉法人日本介護事業団(北海道空知郡奈井江町)は4月、江別市大麻地区にCCRC構想の拠点となる「ココルクえべつ」をオープン。同法人が介護施設や障害者支援施設、保育園などの福祉施設のほか、温泉やゴルフ場、レストランなどを運営。市や大学、地元NPO法人が連携し、多世代、多様な主体が共生できるまちづくりを進め、地域の活性化を狙う。

「ココルクえべつ」の外観
9月老健、サ高住開設 介護・医療体制盤石
CCRC構想のモデルとなるのは、大麻地区一帯。UR住宅や道営の団地、戸建住宅が集まる地域だ。拠点となるのは、JR大麻駅から北に2kmほどの場所にある広さ3.1haの盲学校跡地。ここに今年4月から順次特養、看多機などの介護施設を開設した。今月1日の老健とサ高住のオープンによって、計画上の全ての拠点施設の整備を終えた。総工費は45億円。
江別市立病院が協力医療機関となり、市内のクリニックの医師が嘱託で特養に勤務。医療的な支援体制も盤石だ。「介護度の重い人の生活もしっかり支えることができるのが、このCCRC構想の強みの1つ」と小林孝広法人理事・総合施設長は言う。同法人は拠点内に、就労支援A型事業所のパン工房やレストランなどの障害者福祉施設、企業内保育所も設置。レストランでは、法人が拠点内で養殖するとらふぐ料理も提供する。
人口約12万人、高齢化率が2040年に40%を超えると予想される江別市では、札幌市などへの若者の人口流出が進む。多世代が生涯住み続けられる街づくりを行い、アクティブシニアや若者の転入を促進するため、17年に市は「生涯活躍のまち」構想を策定。日本介護事業団が実施事業者に選定された。ココルクえべつオープンにあたり、市とともに大麻地区の商店街で説明会を開催するなど周知活動を実施。当初から住民の関心度の高さを感じたという。「サ高住はオープン前に50室のうち49室が埋まっている状況。住民の期待感は非常に高い」と小林総合施設長は言う。

小林孝広 総合施設長
昨年の夏から月に1度、地元のNPO法人の協力のもと、江別市主催の市民を対象とするワークショップを開催。参加者による提案が、介護施設の一角を利用した子育てサロンや、ココルクえべつ内での古本市「ブックストリート」の開催につながった。コロナに配慮し、参加者同士の接触を回避するよう工夫しながら開催する。地域にある4つの大学と連携し、住民に向けた介護予防の取り組みも考えているという。

子育てサロンの様子
「江別市でのまちづくりは、多様な背景、個性を持つ住民と法人のつながりを作るところからのスタート。市や地元のNPO法人の協力を得ながら、地域の住民とコミュニティ作りを進められている」と小林総合施設長は語る。
社会福祉法人日本介護事業団は、17年設立のグループ8番目の法人。札幌と旭川の中間に位置する奈井江町で、特養や老健、小多機を運営し、グループが培ってきた地域包括ケアを実践している。