価値観を尊重したケアの提供
近年は、介護職の外国人人材の受け入れが増えてきている。私はまだ外国人スタッフと一緒に仕事をしていないが、今後に期待している。では、スタッフではなく入居者が外国人だったらどうだろうか。長年日本に住んでいても生活習慣や嗜好、コミュニケーション方法など、違いは多い。

 

日本では「初めまして」とおじぎをしたり、親しみをこめて握手などをする。このジェスチャーは国によって様々で、手でグーを作り触れ合わせたり、鼻と鼻をつける、または抱き合う、ハグなどもある。私の好きなフランスではハグしながら左右に耳元でキスをするなど、この挨拶もフランスの友人に対しては何の抵抗もなく行える。でもこれが施設内で利用者さんとしたらどうなのだろうか…。もちろん私とその利用者さんにとっては挨拶でも、スタッフ目線はどう感じるのか。自分もしなきゃいけないの?などと思ってしまうのか。

 

以前アメリカ大使館に勤めていた友人とメールでやり取りする際に、「佐和子と名前で呼んでいいか?自分のことも名前で呼んでほしい」と言われたことがあった。外国人とのコミュニケーションとしてはごく当たり前のこととして受け止めて対応していた。こんな他愛もないことも施設においてはどうなのだろうか…。

 

私の中ではジェスチャーも名前で呼ばれることも何の抵抗もないけど、スタッフ全員が同じ考えとは思わないことは理解している。ある時、外国人の利用者さんから「名字ではなく名前を教えてほしい」と言われて嫌だった、とスタッフが言っていた。

 

外国人の利用者さんの場合、私達とは異なる部分や理解できないことが同じ日本人の利用者さんより多いだろう。だからこそ、その方の歴史、育った環境、生活習慣や嗜好を知りたいと興味持つことがとても重要になってくると思う。コーヒー1つでも大事に考え、インスタントではなく美味しいコーヒーを飲みたいという。そのこだわりは奥深いコーヒー文化国で育った方だからと知ると砂糖とミルクがミックスになっているのでいいですよね?なんて質問はできないはず。

 

その方の祖国の文化や言葉に興味を持つことは必然的にコミュニケーションが広がることになる。そしてきっとケアがより面白くなるだろう。

 

 

女優・介護士 北原佐和子氏

1964年3月19日埼玉生まれ。
1982年歌手としてデビュー。その後、映画・ドラマ・舞台を中心に活動。その傍ら、介護に興味を持ち、2005年にヘルパー2級資格を取得、福祉現場を12年余り経験。14年に介護福祉士、16年にはケアマネジャー取得。「いのちと心の朗読会」を小中学校や病院などで開催している。著書に「女優が実践した魔法の声掛け」

 

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