集約先を一元化

 

 4月より稼働が始まった科学的介護情報システム「LIFE」。今年の介護報酬改定でLIFEへのデータ提出を求められる加算が新設されたが、現状では未対応の事業所も多い。そのような状況のなか、医療法人明輝会(鹿児島市)の介護老人保健施設「ろうけん青空」(同)では、従前より施設内の情報共有・管理の体制を整えており、大きな混乱なくLIFEへのデータ提出が可能となっている。

 

 

明輝会では老健のほか、小規模多機能型居宅介護、有料老人ホーム、グループホーム、訪問看護・介護などの事業を展開している。ろうけん青空は在宅復帰率が高く入居者の出入りが頻繁なこともあり、従前から情報共有・管理の仕組みが整えられていたという。

 

 

後藤裕基統括部長は、「老健において多職種連携は基本です。施設では入居の窓口となる相談部の職員を通じて、必要な情報を共有しています」と話す。入居時の身体状況や本人の望んでいることなど、日々の情報は相談部に集約される。また、職員からの要望に応じ、各専門職へのヒアリングも行う。

 

後藤裕基統括部長

 

 

相談部に情報が集約されることで、LIFEへの提出が求められる情報を各専門職に聞いて回る必要がなく、スムーズに情報提出の準備ができる。新旧の情報が錯綜し混乱することを防ぐことにも貢献している。

 

また、LIFEへのデータ提出について、

▽記録ソフトからCSVデータを出力する作業は法人で選定した担当者が行う

▽データ提出後から速やかに次月分の帳票作成に取り掛かる

――といったルールを定めた。さらに法人内の共有フォルダに介護保険制度の改正情報を集約・共有しており、大きな混乱は生じなかったという。

 

情報共有・管理の体制が整っており、LIFEへも比較的スムーズに対応できたという

 

 

「初回のデータ提出となった4月は必須項目の入力漏れや、LIFEからエラーが返ってきた時にその原因がなかなか判明しないなど、苦労した部分もありました。5月以降は先の取り組みの成果もあり、より充実した内容のデータを提出できています」(岩元友美事務副主任)。

 

岩元友美事務副主任

 

現状では、LIFE対応に困難さを感じている事業所も多い。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会(東京都千代田区)は今年6~7月にかけ会員の4395施設を対象に、「科学的介護情報システム(LIFE)導入状況調査」を実施した。科学的介護推進体制加算などの「LIFE対応加算」について、23%の施設が「期限内に入力できない」と回答。

 

LIFEの活用において「課題」だと感じている点 / データ出所:公益社団法人全国老人福祉施設協議会

 

「期限内に入力できる」と回答した施設でも56・4%は時間外労働が必要であるとしている。「LIFEの活用において課題だと感じている点」については、最も多い「入力作業の負担の大きさ」に次いで、「入力するための体制を整えるのが難しい」という回答が多い。

今後、新たにLIFE対応加算の算定を予定している事業所は、組織の体制整備も必要となるだろう。

 

 

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