介護NEXT 次世代拠点を展開
リハビリ特化型デイサービスGENKINEXTを全国展開、業容を拡大してきた介護NEXT(群馬県伊勢崎市)。本年7月には、同前橋市南町に宿泊も可能なデイサービスを新設。次世代型のデイサービスとして展開加速を図る大場隆幸社長に、今後について聞いた。

大場隆幸 社長
――事業展開の状況は。
大場 主事業であるデイサービスと他介護事業を含め現在、全150(直営76/FC74)拠点を展開。うち3〜4時間・地域密着型デイサービス「GENKI NEXT」が128拠点(直営57/FC74)となっている。
そのほか通常規模で短時間と1日型を提供する拠点、通常規模の1日型に保険外の宿泊サービスを付加した拠点も展開。ニーズに対応し、地域における高齢者・家族の在宅生活を支援するサービスを提供している。
――中重度対応にシフトするのか。
大場 中重度対応ができるサービスへ領域を広げること、つまり「通所介護業態の機能の深堀」を展開の1つの軸としている。一方、2018年に開始した、訪問医療マッサージ事業を、もう1つの軸としている。「デイ+α」の機能を果たすこの拠点を併設もしくは至近距離に置くことで、領域拡大を進めている。
――7月には「お泊まり可能な次世代型デイサービス」と銘打ち、同一施設内複数単位の新業態を始められた。
大場 どのような状態の方にもワンストップでサービスを提供することで、地域社会の連携拠点の役割を果たしつつ、運用上も効率化を図ることができる。そう考えた時、宿泊も付加したこの業態に、優位性を見出した。

宿泊可能な次世代型デイサービス「NEXTコミュニティケアセンター前橋南町」
短時間サービスから利用を始め、要介護度が増した場合、レスパイト需要の吸収も含めた、中重度対応への移行が必要になる。その際、新しくほかの事業所を選択するより、同じ施設内で見知った職員が対応できれば、利用者やその家族に安心を提供できる。
事業効率の面からも、複数単位のサービスを提供することにより、人員基準や送迎などでのメリットが生じると考えている。
新業態FCパッケージに
――新業態を介護保険制度改定の対策モデルとして、FCパッケージ化。展開していくと聞いた。
大場 次期改定では、介護報酬の大幅ダウン、もしくは、軽度者の総合事業移行もあり得る。地域密着型で軽度者のみを対象とする短時間型デイサービスは、定員を増やすか、関連性の高い事業を付加するか、早晩、選択を強いられることになる。それらを見越して、軽度者以外の利用者対応が可能なパッケージとした。物件は土地オーナーが手当てし、建て貸しとすることで、初期投資を抑え、取り組みのハードルを下げたモデルとなっている。
――「市場は飽和状態」「FCによる広域展開のメリットは薄れた」との見方もある。
大場 無論、他業種からの参入も相次いだ一時期の活況とは異なる状況。ただ、これからは新規参入よりも既存の介護事業者がいかに市場にアジャストしていくかが問われてくる。その状況下では、先行事業者として培ってきたノウハウが活かせると考えている。
――サービスの提供において重視するのは。
大場 自立支援に向き合い、結果を残すことを最重視している。状態・目的に応じて必要なサービスを見極める。加えて認知症への対応は、必須と捉えている。身体が元気でも認知症が進行するとIADLは低下するため、軽度者、中重度者のいずれにおいても認知機能の維持、低下予防を重視していく。
――自立支援への評価をどうお考えか。
大場 インセンティブが付与されるようになってきたことは良いが、判定は難しい。
当社でも以前から歩行機能の計測や、認知機能をスコア化できるソフトなどを使用し、エビデンスを獲得している。ただ、こうしたスコアが改善しても、利用者の満足度がここに凝縮されるものではない。一様ではない、その測定や分析指標化は課題として残る。
――コロナ禍の経営への影響は。
大場 現状とコロナ禍前の19年12月との比較では10%強の利用者減となった。その状況がパラダイム転換を考えるきっかけになった。
デイサービスなどの利用控えによるフレイルの進行が指摘されているが、「現在以上の状態悪化があっては、今の生活が維持できない」ことを、デイサービス事業者として訴えていく必要がある。翻せば「もっと元気になったらこういうことができる」という精神的なアプローチをし、通う意味をしっかりと示していくことが重要になってくる。
通所介護事業が果たす役割は、あくまでも在宅生活を継続するための支援。運動機能と認知機能に対するサービスを提供し、さらに在宅生活を継続していく――在宅で生活する楽しさを見出していただくことにその意義があると考えている。