慢性期からの軽快退院に注目

一般社団法人日本慢性期医療協会(東京都新宿区)は9日、定例記者会見で療養病棟の死亡退院率に関する見解を示し、合わせて緊急調査の結果を公表。

「死亡率のみをみて、病院のあり方を議論すること」に対しての異論を表明した。

 

2022年度の診療報酬改定に向けた入院医療の審議では、患者の療養病棟からの退棟先に焦点。55.0%と半数以上が「死亡退院」であるとし、問題視する意見が出されていた。

 

これについて武久洋三会長は、慢性期病棟が重度の患者を多く受け入れている実態を説明。特に06年の医療区分導入により、従来よりも多くの重症患者が慢性期病院に入院するようになったことに触れ、さらにその後の特定除外制度の廃止により、多くの重症患者が急性期病院から慢性期病院に移行したことを指摘。これらにより、実質的には「急性期病床である一般病床の死亡率が大幅に低下した」ことに、より注目すべきとした。

 

武久会長は、「死亡率が55.0%ということは、翻せば軽快退院する患者が半数近く存在するということ。重症化した、状態が悪い患者を受け入れている状況に照らせば、かなり評価されて良いのではないか」との認識を示した。

武久洋三会長

 

また、会見では会員病院を対象に実施した緊急調査の結果を公表。これによると、独自調査での死亡率は、10%未満から90%超の病院まで幅広く分布。
内訳をみると、療養病棟のみを持つ病院では、先の調査と同様の死亡退院率だったが、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟などを併せ持つ慢性期病院では、死亡退院率はこれよりも低かった。

 

武久会長は、「療養病棟の死亡退院率には、地域内にどのような医療資源が備わっているかが影響する。地域によって条件は異なり、死亡率だけをみて病院のあり方を議論することはできない」と締めくくった。

 

 

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