元警察官、デイ開設
音楽活動ができるデイサービス「KEION(けいおん)」(埼玉県川越市)が7月1日、オープンした。ギター、ピアノ、ドラムなど多岐にわたる楽器を揃え、防音スタジオを完備。利用者が主体的に音楽を楽しみながら認知症予防、身体機能の維持・向上ができるデイを目指している。

練習を重ね、音を合わせていく
開設者であるOPENUP(同)の上野拓社長は元警察官。検視を担当していたという。「高齢者が孤独死する現場を多く見てきた。高齢で1人になっても、いきいきできる場をつくりたかった」と開設の経緯を話す。県警内の仲間と軽音楽部を結成するほど音楽好きであったため、「利用者が主体的に音楽活動をできるデイ」をコンセプトとした。

OPENUP上野拓社長
施設は定員20人の1日型デイ。以前はレストランとして使われていた建物は、面積約230平米、天井高5m以上と開放的な空間となっている。
施設奥には防音スタジオを設置した。10種類以上の楽器や音響機器を揃え、周囲への音漏れを気にせず演奏や歌唱、レコーディングが可能。ほかにもCD・DVD作成やラジオ番組づくり、YouTube配信などもできる。

施設外観。入口横にはウッドデッキも
午前中は、その日の演奏内容や担当などの打ち合わせや準備。午後には練習や録音、楽曲制作を行う。地域住民に向けたコンサートも予定しており、照明や衣装の準備なども、利用者と一体になって進めていく。
「利用者は、やらされ感のあるレクリエーションは望まない。誰かに聴いてもらう、発信する機会をつくることで、利用者の主体性を引き出したい」と上野社長。
楽器の音に合わせたリズム体操などの機能訓練、発声や表情筋トレーニングなどの口腔機能訓練も実施する。
「音楽好きな人も、今まで演奏をしたことがないという人も、楽しめる場にしていきたい」(上野社長)。