皆さまもご存知の通り、本年4月の制度改正で介護保険施設の事故防止体制が強化され、10月1日より本格的に義務化されました。今後は取り組みが未実施の場合減算のペナルティが課されます。そのほかにも、業務継続対策や虐待防止など取り組みについても義務化されています。どのサービスに何が義務化されたのか、少し内容が分かりにくいので整理をしておきたいと思います。

 

 

■義務化の内容(未実施減算の対象)は何か?

まず事故防止体制強化の義務化の対象施設は、特別養護老人ホームなどの介護保険施設とされていますが、養護施設と軽費老人ホームも含まれていますので注意して下さい。義務化された取り組みは、運営基準の「事故発生の防止及び発生時の対応」の規定のうち、「指針の整備」「事故発生時の報告と改善策の周知」「委員会の設置・開催」「職員研修の実施」「担当者の配置」などです。監査などで減算のペナルティを受けないように、ポイントを確認しておきましょう。

◇◇◇

1.指針の整備
「事故発生の防止のための指針」を作成しなければなりませんが、主な内容は次の通りです。

(1)介護事故の防止に関する基本的な考え方

(2)委員会その他施設内の組織

(3)職員研修に関する方針

(4)施設内で発生した介護事故などの報告、改善策に関する方針

(5)事故等発生時の対応

指針の内容は具体的であることが求められ、自施設の実情に即した内容にする必要があります。

 

 

2.事故発生時の報告と改善策の周知
 「事故発生→事故報告→原因分析と再発防止策の検討→再発防止策の周知→委員会による集計分析」という、事故発生後の取り組みを徹底しなければなりません。現場では事故カンファレンスもほとんど行われておらず、最も重要なこの取り組みが軽視されていますから、再度業務の手順を再構築する必要がります。

 

3.委員会の設置・開催
事故防止委員会は幅広い職種(施設長、事務長、看護職員、生活相談員など)により構成し、構成メンバーの責務及び役割分担を明確にしなければなりません。また、感染予防や災害対策の組織を兼ねても良いとされています。委員会の責任者は「ケア全般の責任者であることが望ましい」とされていますから、介護部長などが適任と言えます。

 

4.職員研修の実施
新任職員については採用の都度、在職職員については最低年2回の事故防止研修を開催しなければなりませんが、在職職員は半年に1回と考えるべきでしょう。また、「研修の実施内容についても記録すること」とされていますから、日時場所、講師名、参加者名、研修内容を示すテキストなどが記録として必要になります。

 

5.担当者の配置
事故防止の取り組みを適切に実施するための担当者を、新たに配置しなければなりません。「専任の担当者を置くこと、担当者は事故防止委員会の安全対策を担当する者と同一の従業者が務めることが望ましい」とありますから、事故防止委員会の委員長・副委員長が適任でしょう。

 

 

■その他の義務化の内容

介護保険施設の事故防止体制強化のほかに、他の業種も含め「業務継続体制強化」「感染対策強化」「虐待防止の取り組み」が義務化(経過期間3年)されていますので、これらの内容も確認しておきましょう。

 

1.業務継続体制強化(災害や感染発生時の業務継続)
業務継続計画書(BCP)を作成し、これらの内容を研修・訓練することが必要です。対象は介護保険の全サービスですから、居宅サービスやデイサービスも対象です。

 

2.感染対策強化
指針の整備、委員会の設置、職員研修と訓練の実施、専任担当者の配置などが義務化されています。対象は介護保険全サービスです。

 

3.虐待防止の取り組み
指針の整備、委員会の設置、職員研修の実施、専任担当者の配置などが義務化されています。対象は介護保険の全サービスです。

 

 

安全な介護 山田滋代表
早稲田大学法学部卒業と同時に現あいおいニッセイ同和損害保険株式会社入社。2000年4月より介護・福祉施設の経営企画・リスクマネジメント企画立案に携わる。2006年7月より現株式会社インターリスク総研、2013年4月よりあいおいニッセイ同和損保、同年5月退社。「現場主義・実践本意」山田滋の安全な介護セミナー「事例から学ぶ管理者の事故対応」「事例から学ぶ原因分析と再発防止策」などセミナー講師承ります。

 

 

 

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう