否定された毎日新聞の主張

10月6日の毎日新聞は「透析中止 遺族と和解」「福生病院 解決金支払いへ」と報じた。各紙も同様だ。2年前の3月7日、毎日新聞のスクープを装ったミスリード「医師、死の選択肢提示」で始まり、大報道合戦を演じた福生事件。

 

東京地裁の和解条項で「透析中止を積極的に提案し、死に誘導した経緯はなかった」となり、毎日新聞の主張は覆った。だが同紙には反論や反省は一切ない。小さな2段記事なのも違和感を覚える。

 

朝日新聞が始めた連載「高齢者と住まい」で、9月24日と10月6日に施設の月額費用を載せた。介護付き有料は10~50万円、サ高住は10~40万円、住宅型有料は10~30万円とし、SOMPOケア調べだという。幅があり過ぎて情報価値がない。

月額換算の入居費用については厚労省の老人保健事業で、PwCコンサルテイングが昨秋時点で約3000施設を調べた結果がある。介護付き有料は約25万円、サ高住は約14万円、住宅型有料は約11万円。どちらが分かり易いか明らかだろう。取材不足が露呈した。

 

読売新聞が連載コラム「医療ルネサンス」で再びコロナ禍の面会制限を取り上げた。9月23日から5回。COML理事長や認知症の人と家族の会代表、学者を登場させ、「看取り禁止は悲しみが残る」「ダメージは大きい」「生者と死者のつながりの消失」と面会の重要性を指摘する。その通りだろう。
なかで東北大の田代志門准教授は、「面会は憲法13条の幸福追求権に基づく人権」とする日本弁護士連合会の意見書を示し、「社会で共有されるべき」と訴えた。

 

9月23日の日本経済新聞は1面トップで「ネット診療 患者負担割高」「平均900円加算、普及拒む 見直し急務」と大きく掲載した。コロナの感染防止を狙い昨年4月に始めたオンライン診療が普及しない理由を探り出したいい記事だ。
保険外の利用料や通信費の負担で「支払いが増えた」という受診患者の声も拾った。「オンライン診療は長期的には医療費の抑制につながる」という論調に拍手だ。腰が引ける日本医師会と厚労省に発破をかけ続けて欲しい。

 

その日経新聞が9月27日にメディアとして信頼性を問われかねない写真を掲載した。「アンビスHD首位」「4~6月の営業増益額」という記事だ。売上高100億円以下の上場企業を対象に増益額の上位25社をランキング。トップ企業の施設、医心館の介護現場の写真は白いミトンをはめた入居者であった。

 

国が示した身体拘束の事例にミトンがあり、高齢者虐待防止法にも触れかねない。同社はその後、有料の電子版から写真を削除してしまった。

 

 

浅川 澄一 氏
ジャーナリスト 元日本経済新聞編集委員

1971年、慶応義塾大学経済学部卒業後に、日本経済新聞社に入社。流通企業、サービス産業、ファッションビジネスなどを担当。1987年11月に「日経トレンディ」を創刊、初代編集長。1998年から編集委員。主な著書に「あなたが始めるケア付き住宅―新制度を活用したニュー介護ビジネス」(雲母書房)、「これこそ欲しい介護サービス」(日本経済新聞社)などがある。

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