20年後、要介護者は7700万人に

北京大学人口研究所は、中国の老齢化時代の人口動態に関する調査(2015~2020年)を公表した。これによると、中国では2033年に65歳以上の人口が20%になり、超高齢社会を迎えると推計されている。

 

 

2030年には中国の要介護高齢者は7700万人に達し、介護期間の平均は7.44年との見込みだ。また、平均寿命(現在77歳)がさらに高くなれば、必然的に要介護期間も長くなり、要介護高齢者の増加に伴う様々な課題が懸念されている。

 

 

このような状況を改善するため、中国では高齢者の健康促進や介護予防などの取り組みが急務であることが示されている。今回の調査結果は、高齢社会の課題の深刻さを物語るものとなったが、なかでも、介護人材不足が喫緊の課題である。

 

 

中国は経済発展とともに、家庭環境が大きく変化した。核家族が増え、伝統的な家族による介護が物理的に困難となった。一方で、現有の介護サービスはそのニーズに十分に応えられていない。特に要介護高齢者の受け皿が整備されていないのが現状である。
要介護者や認知症の高齢者が施設から入居を断られてしまうケースは少なくない。これは、介護現場の人手不足が大きく影響している。

 

 

北京師範大学の中国公益研究院の統計によると、施設における人員配置比率が3:1とした場合、介護スタッフは約500万人足りないという。

 

 

国内で高齢者率が最も高く、高齢者政策のトップランナーである上海市でさえも、介護人材不足や人材の流出、人材の専門性の低さなど、多くの問題を抱えている。ある調査ではスタッフ1人あたり、6.48人の入居者をみているという推計も出されている。スタッフの年齢は50歳以上が60%を占めており、また、農村部からの出稼ぎ労働者が主力のため、学歴は約9割が中卒以下だという。

 

 

公益研究院が福祉系の専門学生に対して実施した就職に関する意識調査では、卒業時点で学生の約30%、卒業2年目では50%、3年目では70%が、介護以外の業種に就いていることが明らかとなっている。

 

 

20代の介護スタッフは、「肉体的に大変でも、給与が低くても、やりがいがあるので、なんとか頑張れる。しかし、何か問題が生じた際などに、入居者の家族から理解が得られなかったり、クレームを言われたりした時に、精神的にしんどくて逃げ出したくなる」と心境を明かした。

 

 

現場スタッフの情熱だけでは介護産業の持続的な発展は実現できない。人材不足に関して専門家は、給与水準の引き上げとスタッフ個々の人生設計に連動するキャリアアップ制度が必要であると、指摘する。

 

王 青氏
日中福祉プランニング代表

中国上海市出身。大阪市立大学経済学部卒業後、アジア太平洋トレードセンター(ATC)入社。大阪市、朝日新聞、ATCの3社で設立した福祉関係の常設展示場「高齢者総合生活提案館ATCエイジレスセンター」に所属し、広く「福祉」に関わる。2002年からフリー。上海市民政局や上海市障がい者連合会をはじめ、政府機関や民間企業関係者などの幅広い人脈を活かしながら、市場調査・現地視察・人材研修・事業マッチング・取材対応など、両国を結ぶ介護福祉コーディネーターとして活動中。2017年「日中認知症ケア交流プロジェクト」がトヨタ財団国際助成事業に採択。NHKの中国高齢社会特集番組にも制作協力として携わった。

 

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