NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン(東京都新宿区)では、介護者からの電話相談が増えているという。昨年来の新型コロナウイルス感染症のまん延とそれに伴う外出自粛など生活への影響も背景にある。その状況や孤立防止への取り組みについて、牧野史子理事長と電話相談を担当するスタッフに話を聞いた。

 

牧野理事長(右)と森川さん(左)。手にする在宅介護者手帳を含む「ケアラーつながりセット」普及にも取り組む

 

 

同法人では、毎週木曜日、介護者からの相談を受ける「心のオアシス電話」( 相談無料・通話料有料)を実施している。その相談件数が増加している。2019年では、1日平均約2件だったところ20年には4件と倍増。21年に入り、現在(10月初旬)まででは、平均6件とさらに増加している。

 

その一因には、コロナ禍がある。事務局スタッフの森川恵子さんは次のように話す。
「例えば、親が施設に入所していて面会がうまくいかないという人が抱える不安。施設がオンライン面会を実施している場合でも、認知症の親との画面越しでの意思疎通が難しいケースもあります」

 

テレワークが普及する中、森川さんは傾向の一つとして「男性からの相談が増えた」ことを挙げる。
「年齢的にも、若い人が増えていると感じます。例えば、必要があればそれに逐一対応するので、結果として24時間を介護にあてている状態で、疲弊してしまうといった声。

『在宅勤務だからよいかと思ったが、実際には厳しかった』というケースもあります」
デイサービスの利用控えや、通いの場の休止などにより、介護対象が家にいることが多くなった影響もみられる。
「感染リスクは避けたいけれど、出かけないで閉じこもってしまうと足腰が弱り、認知症も進む。そうした相談は多いです」と、牧野理事長が話す。

 

冒頭の相談件数は、法人が2回線で実際に受け付けた数。「午後から何度か電話したが、ずっと話し中。残念だった」という声も届く。「相談に至らなかったコールが、実際にはもっとあったと思います」と、森川さんは語る。

 

相談者が介護する対象者を見ると、同法人では1番多いのが「両親」で、「夫」「親戚(叔母など)」などと続く。また、増加しているのは、複数の介護対象者を抱えるケース。介護者本人の立場によっても相談内容などに異なる傾向があり、例えば「食事に関しての相談」は、男性からのものが多いという。「親と同居で介護者は独身の男性。コロナ禍以前は、日中独居だったというケースが多いです」( 森川さん)。そうした事情から同法人では、コロナ禍以前から、電話だけでなく定期的に「娘サロン」「息子サロン」など、介護者たちが集う場も設けている。

 

仕事と介護の両立に悩む介護者も多い。
「娘サロンに通う介護離職した人の中には、アラジンが行うPC教室に来て資格を取り、新しく履歴書を書いたという人もいます」と牧野理事長。
介護者は相談できる相手や悩みの共有者に巡り会えず、孤立状態に陥ることも少なくない。また、その先には「看取り後の問題」もある。

 

「当法人への相談者には、40、50代の独身の方も多い。その方々が介護していた親を看取ると、それまで関わりのあったケアマネジャーも訪問看護師も介護士も去り、1人ぼっちになってしまったと強い孤独を感じる人や、『次は自分。そう先の話ではない』と不安に駆られる人もいます。そんな人の参加の場でもありたい」と牧野理事長。また「相続や身元保証のことなど、相談先がわからないという悩みもあり、介護者の問題に理解ある専門家を紹介できるよう、取り組んでいます」と語る。

 

「ケアラーテラス」も運営。シェアハウス、シェルターなどの役割をもつ

 

 

 

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