青森県八戸市で介護事業を展開する社会福祉法人同伸会では、地域の介護資源が限られる中でも高齢者が自宅で暮らし続けられるように、様々な取り組みを行っている。訪問介護の一部を他法人に業務委託するなど、法人の枠を越えた連携もしつつ、切れ目のないサービス提供を目指す。

 

社会福祉法人同伸会 瑞光園ホームヘルパーステーション 山口幸人管理者

 

 

 

法人の事業地域である八戸市は、人口約22万4000人の街。太平洋に面する市北部は、大規模な漁港や水産加工場を擁する東北随一の水産都市として知られている。岩手県との県境に接する南部は山間部となっている。

 

同市は少子高齢化の傾向が顕著であり、2040年には高齢化率が42.5%に達する見込みだ。高齢化に伴い、要介護認定者も増加。介護保険サービスのニーズが高まっているが、人材不足などにより、事業者の数が限られている。また、山間部に独居高齢者も多い。そこで課題となるのが、訪問系サービス提供だ。事業者が訪問でカバーするエリアが広くなるため、移動距離が問題になり指定の時間にヘルパーが訪問するのが困難な場合もある。

 

高齢者が自宅で暮らし続けられるよう介護サービスを提供するには課題が多く、自宅での生活を希望しながらも、施設に入居せざる得ない高齢者もいるという。

 

 

移動効率改善で広いエリア対応

 

定期巡回・随時対応型訪問介護看護の瑞光園ホームヘルパーステーション、山口幸人管理者は「このような地域でサービスを切れ目なく提供するには、法人の枠を越えた連携が必要です」と話す。

 

その一環で現在、定期巡回・随時対応型サービスの一部を指定訪問介護事業所などに委託し、地域の事業者が連携して高齢者を支える、「チーム型定期巡回」の構築を進めている。この仕組みは、訪問回数や、時間、費用について予め契約を交わし、複数事業所がサービスを提供するもの。

 

瑞光園ホームヘルパーステーションでは、訪問介護・看護事業所合わせて12の事業所と契約。訪問エリアの端にあたる地域の利用者について、一部のサービス提供を他事業所に委託している。「例えば1日3回訪問するうちの1回を、他事業所のヘルパーに10分700円30分単位で依頼するといったイメージです」(山口管理者)。利用者の情報はケア記録ソフトを使って共有する。これにより、移動時間のロスが減少し、広いエリアでも効率的なサービス提供が可能になる。

 

 

利用者にとっては、必要な時はより迅速なヘルパーの駆け付けが可能になるため安心感につながる。また、訪問介護の利用者が介護度の悪化から、別の事業所と契約し定期巡回サービスの利用を開始する場合でも、これまでと同一の事業所のヘルパーからケアを受けられるという利点もある。

 

地域の事業所と協力してサービスを提供する

 

 

通報システムで、消防・警察協力

加えて、消防や警察とも連携し、高齢者を支える取り組みを行っている。
これまで、緊急性の低い時にも、利用者が電話で救急車や警察などを呼んでしまうケースがあり、その対応が課題となっていた。

 

そこで、消防・警察が同伸会の事業所と連携。利用者から連絡があった場合は、同伸会にそのことを連絡する。同法人は利用者宅に設置した緊急通報システムにより利用者の状況を確認。緊急性があるとスタッフが判断した場合に消防・警察、施設職員が駆け付ける体制とすることで、課題に対処した。

 

 

また、通報のあった時間帯から、訪問サービスでは難しい利用者の24時間の生活リズムを把握。それを訪問時間の調整や日中のケアに活かすことが可能になったという。

 

山口管理者は、「サービスの資源が限られるこの地域では、単一の事業所だけでサービスを提供しようとすると無理が生じます。厳しい状況だからこそ、様々なアイデアを出し合って連携することが必要となっています」と語った。

 

 

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