社会福祉法人カトリック京都司教区カリタス会(京都市)の特別養護老人ホーム神の園では、利用者へのケアのスケジュールを記載した24時間シート活用し、個別ケアの向上を図る。ケア内容の見える化により、内容の振り返りと、改善につなげている。

24時間シートの例 出所:特養神の園
サービス均質化 新人教育活用も
施設は定員90人、ショートステイ14人で、平均介護度は要介護4程度。ユニット型で、人員配置はおよそ1.9:1となっている。
施設の設立は1967年。阪神淡路大震災を契機に移転が決まり、2003年にリニューアルオープン。
その際、ユニットケアを導入するとともに組織の見直しを開始した。
最初は、施設の基本理念についての教育を徹底し、目指すべき姿や価値観を共有するなど、下地を整えた。その上で、ケアを標準化し、質の底上げをする目的で24時間シートを導入した。
24時間シートは、入居者ごとにその日のケア予定を記載した表。入居者それぞれの生活スタイルに対応するために用いられる。
現在は介護記録ソフトに組み込んで使用。PC上でケアの予定と方法、注意事項などの詳細の確認ができる。そのため、その日の利用者の状態や意向に沿ってケアを提供しつつも、職員によって大きな差が生じることがない。一般に、ユニットケアでは職員が1人で判断、行動しなければならない場合もある。その時、入職から日の浅い職員でも質の高いケアを提供できる。教育にも役立つだけでなく、「担当者がいなければ仕事が出来ない」といった、個人の技術などに依存する部分が減り、職員が必要な時にしっかり休める状態になる。
加えて、24時間シートの画面から移行せずに記録入力なシステムとなっているため、予定されていたケアと実際に提供されたケアが比較しやすい。その点に着目し職員の振り返り、改善に向けたツールとして活用している。
齊藤裕三施設長は「これにより、職員のケアをしっかり評価できます。『良いケアをすればちゃんと評価される』と分かれば、職員のモチベーションにつながり、好循環を生み出すことができます」と話す。
1日の業務が一覧で可視化されることで、シフトの組み方も変化。忙しい時間帯に十分な人員を配置する、メリハリのあるものになったという。
今後は、ICTの見守り機器の導入で、さらなるケアの質向上を目指す。