なるざ(福井県あわら市)が運営するグループホーム「とものいえ」(同)では、入居者にとって身近な「カバン」を活用し、主体性を持ってもらう取り組みを行っている。
「共用の棚にレクや運動の記録ファイルなどを収納していたが、整理整頓されていなかった。準備に時間がかかり、入居者ごとに活動経過を踏まえたアクティビティの提供もできていなかった」と谷川真澄社長は話す。

谷川真澄社長
そこで、入居者ごとに「カバン」を施設が新たに用意。これまで職員が保管していた道具を中にいれ、入居者が管理するようにした。「本人が片付けや出し入れすることで、『自分の身の回りを自身で管理する』機会になると考えた。記録物や作品を個別に保存することで、活動経過の振り返りにも役立っている」(谷川社長)。

入居者の居室内で保管
始めは、カバンの存在を忘れてしまう、中身を出して違う場所に片付けてしまう人もいたが、職員の声かけにより4〜5ヵ月ほどで管理に慣れることができたという。「全員、同じカバンにすることで、入居者同士で共通認識を持ち、協調性が生まれた。職員の片づけ業務が減り、入居者に関わる時間が増えた」と谷川社長は話す。