千葉市内で特別養護老人ホームやデイサービスなどを展開する社会福祉法人常盤会は、運営する特養「ときわ園」にて、災害対応工程管理支援システム「BOSS」を活用している。同システムにより、災害時の行程フローを見える化し、業務の漏れや見落としを減らせるという。三枝弘朋理事長に話を聞いた。

三枝弘朋 理事長
―― B O S S について。
三枝 東京大学生産技術研究所の沼田研究室が開発した、災害発生後に行うべき業務を時系列順に表示するシステムです。パソコンやスマートフォンからオフラインで使用でき、誰が、いつ、何をすべきかがひと目でわかります。災害対策業務の全体像をとらえることができる自治体向けに標準化された業務フローを、定員80名の同施設用に改良しながら使用しています。

工程フローを分かりやすく表示
――導入のきっかけは。
三枝 2 年前の台風15、19、21号で、倒木被害や玄関の浸水被害、4日間にわたる停電被害などがあったためです。事前に7日間分の食料の備えや小型発電機の準備などしていたため大きなトラブルはなかったものの、作業の確認にホワイトボードを用いた際に色々と不都合がありました。具体的には、やるべきことを思いついたら手当り次第に書いて対応していましたが、業務の見落としや連絡漏れなどのトラブルが発生しました。また、長年在籍するスタッフの経験に頼るところも大きく、手順を決めておく必要性を感じました。同システムは業務を見える化できるため、連絡漏れや行うべきことの見落としがなくなると知り、導入を決めました。
――導入までの感想は。
三枝 本格的に使用するレベルの災害はまだ起きていませんが、慌てずに対応するためには前もって準備をしていないと難しいと感じます。同システムを使用すると、
① 災害本部を設置し指揮系統の確認や職員緊急連絡網の確認をする、②施設長が本部会議を開催するといった具合に業務フローの流れが分かるため、とても有用だと思います。
システム自体も日に日に進化しているため、災害時のBCP対策以外の地震、感染症対策などの様々な状況に対応できるように活用していきたいです。

ときわ園外観