<連載第123回 遺言執行者とは>

 

「遺言執行者」という存在を皆さんは知っていますか。よくサスペンスドラマの中で、相続人に対し、遺言書を公開している人と言えば、ピンとくる人がいるかもしれません。このような人がいわゆる遺言執行者に近い役割を担っていますが、具体的に何をする人かは分からないと思います。そこで、将来遺言執行者に就任する人たちのために、今回は、遺言執行者について概説します。

 

 

遺言執行者とは、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為を行う権利義務を有する人のことを言います。この遺言執行者に就任するケースとしては、

(1)遺言で指定される場合

(2)遺言で遺言者の指定を第三者に委託し、その第三者より指定される場合

(3)相続人など利害関係者の申立てにより、家庭裁判所が遺言執行者を選任する場合

等があります。

 

遺言執行者の主な職務内容としましては、

Ⅰ遺言執行者に就任したことに関する就任通知書を相続人に送付し、遺言内容を公表すること

Ⅱ財産目録を作成し被相続人の財産を確定させること

Ⅲ遺言内容を実現すること

Ⅳ遺言内容執行後、任務完了の報告を相続人にすること

等です。

 

遺言執行者は、上記の職務を行うに当たって、善管注意義務を負っております(民法1012条3項、同法644条)。上記の職務を行うに当たって、遺言執行者が、遺留分権利者や受遺者の利益を不当に侵害し、社会的相当性を逸脱するような執行を行ったときには、善管注意義務に違反した違法な職務行為として、遺留分権利者や受遺者から不法行為責任を追及される可能性があります。

 

 

具体例として、遺言によって遺言執行者に指定された者が、他の相続人に対して、遺言内容を公表せず、財産目録も交付しなかった結果、遺留分侵害請求権の時効期間や除斥期間が経過してしまった場合には、他の相続人から、遺言執行者に対して、善管注意義務違反に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

遺言書により、遺言執行者に指定されたが漫然と何もしない場合には、他の相続人から善管注意義務違反に基づく損害賠償請求をされかねません。こうしたリスクを回避する面でも、遺言執行者に選任されたのならば、専門知識を有する弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士

家永 勲氏

【プロフィール】
不動産、企業法務関連の法律業務、財産管理、相続をはじめとする介護事業、高齢者関連法務が得意分野。
介護業界、不動産業界でのトラブル対応とその予防策についてセミナーや執筆も多数。

 

 

 

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