もう一工夫でアクセシブルに

コロナ禍で在宅勤務が増え、仕事がしやすいよう書斎の環境を整え始めた。まずは椅子。今までのものは、長時間座っていると腰が痛くなってくることが分かった。

 

 

オフィス家具のリサイクルショップで相談すると、いくつか薦めてくれたので、座った時のフィット感が一番良かったものを購入し、使い始めた。1ヵ月ほど満足して使っていた時、ふと座面の下に手を入れると、レバーやハンドル以外の「それ」が手にあたった。逆さにしてみると、ボックスのようなものがあった。開けてみると、単4電池を4本入れるようになっている。リサイクル品なので説明書はついていない。

 

 

椅子に電池?と、恐る恐る電池を入れスイッチを入れてみたが変化はない。「?」が頭から消えないまま、椅子を元に戻し、座って仕事を始めて1分、「ピーピー」と音が鳴り出した。ん?何の合図だろう?座面の下のそれを触っても音は止まらない。何が起こったか分からないまま音は鳴り続けていたが、下を覗きこもうと立ち上がった途端に音が止まった。再び「?」が頭の中に現れたが、気を取り直し座り直して仕事を開始。するとまた1分後にあの謎のピーピー音が鳴り始めたのだ。

 

気になって仕方がない。翌日、販売元に電話をしたところ「身体に負担のかかる座り方を1分間続けるとその音が鳴り始める」と教えてくれた。

 

なるほど、とても良い仕組み、と思うと共に、聴覚に障害のある人たちにとっては、気づくことが難しい仕組みだと思った。音だけでなく、振動やフラッシュ通知など知らせる方法が複数あれば、立派なアクセシブル製品である。ただ、気を緩めるとすぐに鳴り出し、常に監視されている状況。姿勢が悪いと怒られた小学校時代の先生を思い出しながら、在宅ワークに励んでいる。

 

星川 安之氏(ほしかわ やすゆき)
公益財団法人共用品推進機構 専務理事
年齢の高低、障害の有無に関わらず、より多くの人が使える製品・サービスを、「共用品・共用サービス」と名付け、その普及活動を、玩具からはじめ、多くの業界並びに海外にも普及活動を行っている。著書に「共用品という思想」岩波書店 後藤芳一・星川安之共著他多数

 

 

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