24億円を投入
SOMPOケア(東京都品川区)は11月5日、2022年4月から、介護の現場で働く職員を対象に、大幅な処遇改善を実施することを発表した。現場のリーダー級社員をはじめとし、ホーム長などのマネジメント職、看護職なども対象とする。人材の安定的確保や定着につなげ、さらなる介護の質向上を図る。

SOMPOケア 遠藤健社長

 

今回の処遇改善の対象となるのは、まず介護職のリーダー。介護福祉士の有資格者が3年程度の現場経験を有し、専門性を高めた場合に就く「ケアコンダクター」約1000名の年収を50万円引き上げ、400〜450万円程度にする。ホーム長など施設の管理職級の現場マネジメント職約1200名に対しても年収を約55万円引き上げ、500〜550万円とする。

 

管理職を「なりたいと思える」ものにすべく、キャリアアップの道筋を見えやすくすることで人材の定着を図る。さらに介護現場で働く看護職約800名についても年収を平均15万円引き上げるほか、ケアマネジャーなどの専門職、パートの介護職員についても処遇水準の引き上げを行う。
また、高い専門性をもって従事する「介護プライドマイスター」の任命制度も充実させ、一定以上の等級で遇することも示した。現在、12名の認定者を数百人規模まで拡大したい考え。

 

 

同社が今回示した処遇改善の原資は、年間約24億円。
19年10月に行った、介護福祉士を中心とした第1弾となる処遇改善と合わせると、34億円を投じることになる。売り上げ・利益とも堅調なことに加え、IT技術を活用して事業効率を上げることや、期待される離職率低下により採用コストを抑えることでこの原資を捻出するという。離職率については、第1弾の処遇改善を実施した結果として、実施前の約17%から19年で15%、20年で11%と順調に低下。併せて毎年平均約100名だった中途採用が約80名に縮小。「離職防止の成果は、確実に上がっている」とみる。

 

 

同社では一連の処遇改善を通じ、将来的なビジョンを描きやすくすることで若手の成長を促し、「未来の介護の担い手」を育成していく。

 

介護職の賃金については、その低水準を岸田政権も問題視し、課題に挙げている。「介護、看護、保育、幼稚園などの現場で働く人の収入引き上げは最優先課題」とし、賃上げなどを議論する春闘に先行させる方針を示した(11月12日現在)。これにも先んじることとなった最大手の決断。業界に与える影響が注目される。

 

処遇改善の概要 出所:SOMPOケア 発表資料

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