重度訪問介護を展開する土屋(岡山県井原市)は、重度障害者の環境改善に向けて、シンクタンク事業を開始。9月に土屋総合研究所を設立した。

土屋総合研究所 吉田政弘所長
2020年設立の同社は、全国約40の都道府県で重度障害者の訪問介護事業を展開。重度訪問介護については、自治体の財源状況や制度に対する考え方への違いなど、さまざまな理由で当事者がサービスを受けられない事例が報告されているという。
また、原則、勤務中や通勤時は重度訪問介護を利用することはできないが、一部の自治体では、勤務中や通勤時も利用可能な独自のヘルパー派遣事業を行っているなど、地域によって受けられるサービス環境に格差があるという。
「支援を必要としている人にサービスが届かない理由は、重度訪問介護への認知度・理解が低いこと。地域住民の理解が得られず、一人暮らしの家を借りることすらできない重度障害者も少なくない」と指摘する吉田政弘所長。
研究所では、①福祉・介護・医療サービスの制度などに関する実態調査、②国や自治体の施策検討に資する調査・分析、③介護業界が抱える問題などへのアプローチ・調査、④ヘルパーや介護事業者に向けたノウハウ共有・コンサルティング活動、⑤一般向けのシンポジウムなどのイベント開催などを行う。
「この領域について、自治体・一般の人たちへに啓蒙活動を行い、ひとが『生きる』だけではなく、『活きる』社会の実現を目指したい」(吉田所長)

重度障害者の理解に向けて、啓蒙活動を行う