創心會(岡山県倉敷市)は岡山県を中心に、通所介護、訪問介護及び看護、居宅介護支援など、51事業所を展開している法人。自立支援に力を入れており、介護職員にもリハビリの教育を徹底して行っている。来年は複合型施設を新設し、高齢者の在宅生活支援体制をさらに強化していく。

創心會 二神雅一社長
寝かせきり介護、疑問を感じ今に
法人は1996年に設立された創心会在宅ケアサービスからスタート。現在、従業員数は711名、利用者数は約3200名。社会福祉法人創心福祉会、そうしんクリニック茶屋町、農作物の生産販売を行う「ど根性ファーム」などからなる創心會グループを形成しており、高齢者や障害者の在宅生活を支援している。
設立以来、リハビリによる利用者のOQL向上に努めている。二神雅一社長は理学療法士として現場で活躍していた90年代、「寝かせきり」状態の高齢者を数多く見てきたと話す。「『何でもしてあげる』ケアが普通の時代、リハ専門職として介護に関わり、状況を変えたいという思いがありました」
アセスメントが鍵
法人では、アセスメントを通じて「その人にはなぜ介護が必要なのか」を丁寧に分析。リハビリの目標と、プログラムを利用者と共同で決定していくプロセスを「本物ケア」として重視している。

職員にリハビリについての教育を徹底。利用者と二人三脚で自立支援を行う
本物ケア実現には専門職だけでなく、一般の介護職にもリハビリに関する高い知識が必要だ。そのため、入職した職員全員を対象に約1年間、全22回の「リハケア講座」を実施している。内容は、リハビリの理論、高齢期の病理、生活環境に適応するための体の扱い方など、自立支援の基礎を学ぶ。「職員全員が、『何のための機能訓練なのか』を理解できる状態を目指しています。目標が理解できていると、リハビリの効果が高まるという研究発表に基づいた考えから、これらの取り組みを行っています」(二神社長)。
社会復帰の場、設置
さらに、リハビリが進んだ後、高齢者や障害者が社会参加する場として、農業やパン工房などもグループ内で設置した。その中のど根性ファームでは、笠岡湾干拓地にて特産のネギを生産している。「高齢であっても、障う声から始まったこの事業は、利用者のリハビリのモチベーションにつながっている。この農福連携が注目を集め、9日には笠岡市長の小林嘉文氏が視察に訪れた。
複合施設を開設、住まい選択肢に
在宅生活の支援体制をさらに強化するため2022年4月、岡山市に「創心會リハケアベース大安寺」を開設する。

新規開設予定の「創心會リハケアベース大安寺」
法人第1棟目となるサービス付き高齢者向け住宅(20室)を中心に、看護小規模多機能型居宅介護、ショートステイ、デイなどを含む複合施設となっている。地域では居住系のサービス、特に特養のニーズが高く入居待ちが多い状況だ。サ高住と看多機を併わせ持つ施設の開設によって、そのニーズに対応していくほか、軽度から重度まで様々な介護度の高齢者に対して、住まいの選択肢を提供する。
加えて、今後訪問看護の必要性が高まることを想定し、訪問看護事業においては看護師の積極採用を実施。2〜3年後を目途に80名、最終的には100名まで増員していく考え。
経営面では、16年に設立初の減収減益となったが、今年度法人の売上高は前年度から約2億円増の32億円で過去最高を記録。堅調に増加している。