公的価格の見直し議論の行方

 

今回は特別寄稿とし、岸田政権の掲げる「公的価格の見直しによる介護職等の処遇改善」に関して、現在の検討状況を整理し、今後の課題を論考します。

 

「成長と分配」「新しい資本主義」を掲げる岸田政権では、所得改善は重要政策の1つであり、看護・保育・介護の処遇改善を先行して実施する方針が示されています。
介護に関しては、3%の処遇改善を目指し、来年2月より月9000円の処遇改善を行う方向で調整されています。また、来年2月から9月までの処遇改善の予算は経済対策に盛り込まれることとなり、10月以降は「公的価格評価検討委員会」において、更なる引上げを含めた安定財源の確保策を年末までにとりまとめる方針であります。

 

このような情勢を踏まえて私が代表を務める全国介護事業者連盟では、政府及び厚生労働省に対して要望書を提出しました。最も重要な要望ポイントは現行の「介護職員処遇改善加算」「介護職等特定処遇改善加算」の課題を踏まえ、現場の文書負担の更なる増加をなんとしても避けてもらうことと、介護職のみにとどまらず、介護現場の従事者全員に配布できるよう柔軟な対応を行って頂きたいという2点です。

 

ただし、今回の処遇改善策では、すでに3つ目の新しい処遇改善策となることは確定しており残念ながら更なる書類負担となります。そこで、少なくとももう1点の介護職以外の職種への配布が可能となるかが今後の議論のポイントです。

 

さらには、来年10月以降は、その他職種にも一部配布が可能な現行の「介護職等特定処遇改善加算」に組み込むことで書類負担の軽減にも繋げてもらいたいと思います。最も危惧すべきは、来年10月以降も交付金等の形で第3の処遇改善策が実施され続け、2024年の介護報酬改定を迎えた時に、介護報酬改定に組み込まれることです。

 

そうなれば、15年改定の再来となり、基本報酬の大幅削減、処遇改善加算のプラスによる全体改定率の調整へと繋がる最悪のシナリオとなります。すでにそれに向けて、11月8日に開催された「財政制度等審議会財政制度分科会」では、「世界的な水準と比べて介護職の所得は低いが労働分配率も低い」とのデータが示され、事業者の収益からの所得分配が足りないと指摘されています。つまり介護事業者の報酬単位を引き下げて、その引き下げ原資を処遇改善に振り替えることを意図しているのです。

 

介護関係者は団結し、この問題に向き合い、24年同時改定での大幅マイナス改定を回避し、現場が真に望む形での介護従事者の処遇改善を求めていくことが必要です。

 

 

斉藤正行氏 プロフィール
2000年3月、立命館大学卒業後、株式会社ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。

 

 

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