ケアクラフトマン(鹿児島県出水郡長島町)が運営する訪問看護事業所・居宅介護支援事業所の職員は、記録や事務作業は在宅ワーク可能とし、フレックスタイム制で勤務している。勤務体系や業務の管理方法を変更し、介護記録ソフトやタブレットなどを導入。職員と話し合いながら進め、開始3〜4ヵ月後には定着したという。

 

ケアクラフトマン 大平怜也社長

 

職員数は、訪問看護事業所9名、居宅介護支援事業所3名。これまでは訪問先に直行直帰でなく、朝と夕に事務所に立ち寄り、報告や記録業務を行っていた。1人平均20〜30時間/月ほど残業していたという。大平怜也社長は「子育て世代が急いで出勤する様子を見て、事務所に来なくても柔軟に働ける環境を整えよう、と考えた。2017年に在宅ワーク、フレックスタイムの勤務体制を開始した」と話す。

 

まずは勤務体系を変更。これまで週休2日で、8時15分から17時15分の8時間労働としていた。顧問社労士と相談し、月に30日出勤の場合で168時間労働と定め、5〜22時の間で勤務して良いとした。

 

新しく導入したものは、
▼タブレットやノートパソコン
▼端末上で出退勤できる勤怠管理サービス
▼記録や介護保険請求に使用するクラウド型のソフトウェア
▼会議録や研修報告などの書類の作成・共有サービス。

 

タブレットで業務する職員

 

 

業務の管理については、スケジュール共有ツールを活用。訪問やサービス担当者会議などの主業務は、訪問先、時間をあらかじめ割りふる。記録や事務業務などは規定時間内であれば自由に作業して良いとした。職員は「何を何時間で何件行ったか」を共有ツールで毎日報告する。

 

「紙で行っていた業務が全て端末上での作業になり、勤務体系も変わることに始めは抵抗感を抱く職員もいた」と大平社長。そこで、端末での作業に慣れてから、在宅ワークとフレックスタイムを取り入れる、というように段階的に進めた。まずは3名の訪問看護の職員が先行して端末での業務を実行。その3名をサポートリーダーとし、ほかの職員に教える形をとった。
「その後、在宅ワーク、フレックスタイムの勤務体制に移行。少しずつ、職員がそれぞれにあった働き方を見つけていき、3〜4ヵ月後には定着した。半年後に居宅介護支援事業所でも導入した」と大平社長。

 

例えば、訪問先から直帰し、家事を済ませてから記録業務する職員や、1日中自宅で業務する職員もいる。移動時間が減り、隙間時間を活用することで、残業はほぼゼロとなった。低減した残業代分でソフトウェアの運用費をカバーし、職員の基本給を上げたという。

 

 

職員同士の一体感がなくならないよう、定期的に顔を合わせた会議を行う。昼食時は事務所に集まり、情報交換する職員も多いという。「勤務体系の変更は『手段』であり、働きやすくすることが『目的』であるときっちり職員に伝えることが重要」(大平社長)。

 

 

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