衆議院議員選挙 初挑戦で当選

10月31日に行われた衆議院議員総選挙で大幅に議席を増やした日本維新の会(以下‥維新)。兵庫1区より維新公認で立候補し、初当選した一谷勇一郎議員は現職の介護事業経営者。「経営者の目線から日本の介護・医療業界のイノベーションの必要性を訴えていきたい」と語る。国会議員を目指した理由や、今後の目標などについてインタビューした。

 

一谷勇一郎 衆議院議員(日本維新の会)

 

大阪で整骨院とデイ2ヵ所経営

 

――立候補するまでの経歴を教えてください。

一谷 柔道整復師の資格を持っており、2003年より大阪で整骨院を経営しているほか、11年にはライフケアという会社を設立して、2ヵ所のリハビリ特化型デイサービスを運営しています。もっとも整骨院と介護事業所は、私が代表権を持ってはいますが、20年8月以降は選挙活動に専念するため実質的な運営は社員に任せています。

 

 

――なぜ、今回立候補をしようと思ったのですか。

一谷 ライフケアは早い段階からペーパーレスや事務職の完全テレワークなど業務のICT化を進めてきました。今後、国の社会保障財源は厳しさを増し、介護保険給付の大幅な引き下げが予想されたため、少しでも業務効率・生産性をあげる必要があると考えたからです。介護システムメーカーが主催するセミナーで、講師として全国をまわり、ほかの介護事業者にもその必要性を訴え続けてきました。

しかし、前回の医療・介護同時報酬改定は結局小幅なものに留まりました。私は「これでは、介護保険財政破綻の問題を先送りにしただけではないか」と絶望しました。今後も日本の介護保険制度を維持・継続させていくには、私が取り組んできたように介護事業のやり方そのものを変えていくしか道がありません。そのことを厚生労働省に理解してもらうには、実際に介護経営の現場に立っている自分が国会議員になるしかないと考えたのです。

 

 

――そこで、具体的にどのような行動に出たのでしょうか。

一谷 柔道整復師の師匠に「私を国会議員にしてください。どうすればいいでしょうか」と頼んだところ、19年5月に維新所属の参議院議員東徹先生を紹介されました。東先生の下で政治を学び、20年8月に維新兵庫1区の支部長となりました。
それから1年強、駅立ちや挨拶まわりなどを通じて私の考えを訴え続けてきました。
私は政治経験が全くゼロでしたし、兵庫1区の有権者からすれば、いわゆる「落下傘候補」です。その分、誰よりも汗をかく必要がありました。今回、兵庫県から出馬した候補の中では駅立ち、集会参加などの回数は最も多かったのではないかと自負しています。

 

医療・介護にイノベーション
今後も持続可能な制度構築を

 

――政治家として訴えていきたいことは何でしょうか。

一谷 日本の医療・介護業界にイノベーションを起こし、今後も長期にわたり持続可能な仕組みを構築していくことです。医療・介護・福祉業界の支持・応援を受けて活動している議員は大勢いますが、多くの場合、「自分を支持・応援してくれる業界・サービス種別にいかに予算を回してもらうか」という思考になってしまいます。
しかし、日本の人口、特に生産年齢人口が今後どんどん減少していく中で、限られたお金の取り合いをしていても何も解決しません。医療・介護ツーリズムの活性化、医療・介護サービスの輸出などを通じて、外から日本の医療・介護業界にお金が流れ込む仕組みを構築していくべきと考えています。

 

 

――当選して、今改めて思うことは何でしょうか。

谷 幸いにも兵庫1区は神戸の中心地です。神戸は、医療産業都市を宣言して多数の先進的な医療産業が巣立っている都市であり、古くから海外との窓口として栄えた都市でもあります。私のビジョンの実現には最適な場所と言えます。

また、これは政治家を志したときには知らなかったのですが、私の親戚がかつて兵庫県の副知事をしており、1973年の知事選にも出馬しています。そうしたことを考えると、今回、神戸で政治家としての第1歩を踏み出せたのは、先祖の導きのようなものがあったのではないかと感じています。

 

 

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