福岡県太宰府市で高齢者福祉事業を展開する誠心。同社の運営する施設「アクラス」シリーズは、身体の状況によって住み替え可能となっている。また、本人の社会性を損なわない、最期まで尊厳を保つケアを職員誰もが提供できるよう、入居者の生活上の問題を解決する方法をフローチャート式で導き出せる解説書を独自で作成している。

 

 

同社は、介護付有料老人ホームアクラス五条を2005年に開設。以降、元気な時期から看取り期まで対応するため、住宅型有老、サービス付き高齢者向け住宅を開設。現在4棟の施設を運営している。

「介護度が比較的軽くても地域から切り離されてしまう人もいれば、重度でも地域で幸福に暮らせる人もいます。その違いは要介護度ではなく、『社会性』の低下にあると考えました」と吉松泰子社長は語る。そこで、入居者と社会を近づける支援を実施している。

 

アクラスタウン外観。込み入ったつくりとすることで、安心感、親しみやすい印象としている

 

 

義務を果たして地域とつながる

 

アクラス五条、住宅型有老アクラスタウンとあくらすJには、喫茶店、図書館コーナー、レストランなど、入居者のほか地域の人が利用できる施設を設置している。地域の人が気軽に立ち寄れるように、外観も住宅街に馴染むデザインにしている。

 

社会性を維持する取り組みとしてあくらすJは当番制で、入居者が来客の対応をするといった仕事を行っている。仕事の対価として11000円を支給しているという。

「入居者の生活は自由です。外出なども自分の都合でできます。しかし、自分の行動には必ず『社会的責任』が伴います。施設では、必要な支援や声掛けは行いますが、行動の結果についての責任は負えないと、見学会などではっきり伝えています」(吉松社長)

 

 

責任感から自立に

 

 

「入居者自身が責任を負う」という考えの下では、介護職員の介入は必要最小限となり、自立の維持が期待できる。

 

サービス付き高齢者向け住宅「アクラスヴィレッジ」にも、その考えが踏襲されている。このサ高住は、一戸建て住宅2棟と、2戸の集合住宅が1棟、4戸の集合住宅が1棟、全8戸で構成されている。生活支援サービスなどを提供するが、基本は一戸建ての住宅と変わらない。

 

一戸建ての住宅に住むことで「この家の責任者である」という認識が強まる。家はアクラスヴィレッジという「地域」に属していることから、ご近所付き合いや地域の環境を守る義務が生まれる。そこで、住民同士による見守りなどの相互の支え合いも形成される。

 

「自分の生活のことは何でもやる」とあくらすJの入居者

 

 

「個人に寄り添う」実現するツール

 

介護度が高い入居者に対してケアを行う際にも、「社会の中で生きる」という観点から、入居者に「必要な」介入を行う。

 

同法人では、職員誰もが一人ひとりに合わせた支援を実践できるよう、問題の検討と解決策の方針をフローチャート式の解説書としてまとめている。

これは、旧厚生省が作成した「高齢者ケアプラン策定指針」及び「高齢者ケアプラン策定指針要約版」から、特に「問題領域別検討指針」に沿ってまとめたもの。本来、300以上の項目のチェックリストを用いるものだが、18分類された問題ごとに「この問題が発生したなら、必ず当てはまる項目」をまとめて、フローチャート式で支援の方向性を導き出せるようにした。

 

職員の人員体制はほぼ11となっており、個別性の高いケアを提供できる体制としている。パートタイマーなどは雇用せず、施設内外の掃除なども介護の一環として介護職員が行う。職員の数が多いため、残業はほぼ発生しない。技術向上のための勉強時間なども確保できる。

 

「ある入居者はここでの暮らしについて、『自分のことは何でもします。お風呂だけはちょっと手伝ってもらう必要があるけど』と言います。皆、自分で生活を送る力を持っています。それを妨げず、必要な時だけ本人を支える。そのような介護を提供します」(吉松社長)

 

 

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