社会福祉法人あすか福祉会(長崎県対馬市)は、地方から都市部に至る多様な地域で介護や保育事業を行う。地域のニーズに対応しながら、個々の施設が主体的に運営方針を決定する体制をとる。「日本一の社会福祉法人」を目指し、全国的に拠点を増やしている。M&Aも視野に、事業展開エリア、拠点数の拡大を図る。

 

 

1982年に、長崎県対馬市で保育事業から始まった同法人。利用者数は保育分野で870名、介護分野で1300名となっている。現在、事業展開エリアは福岡県や関西、関東圏にまで拡大。関東では、特養などの施設を3 拠点で展開する。22年に横浜、23年に平塚で特養を開設する。

さらに神戸に特養や老健、看護小規模機能型居宅介護事業所などが併設された複合施設を23年に開設予定だという。総ベッド数は320床、総工費60億円。

 

法人は利用者一人ひとりの尊厳に配慮することを基本理念とする。

利用者の性質や慣習が地方と都市部では異なることから、求められるサービスもおのずと異なってくるという。「全施設で画一的なサービスを提供するのではなく、地域の特色に合わせてサービスを組み立てている。利用者からアンケートを高頻度で取り、利用者の声を直接反映させている」と素花源之理事長は語る。

 

施設毎に地域のニーズに合わせたサービス提供が求められることから、各施設長を中心に職員が主体的にケアの在り方を考える姿勢が重視される。ICTの導入においても、利用者や職員の意見を汲み取り、本格的な導入までの時間を十分に設けながら、施設の希望に応じて取り入れていく考え。

 

素花源之理事長

 

個々の施設の独自性を重視する体制や、利用者の声を逐次反映させる方針から、日々の会議を施設横断的に高頻度で開催する。

コロナ禍を契機に、オンライン会議も取り入れ、施設長会議やエリア部長会議、法人幹部の会議、サービス種別ごとの職員会議などを理事長も交え開催、運営方針について議論、決定するという。

 

 

5年後、職員2000名 年間収益100億円へ

 

人材確保においても、職員がどのような処遇を希望するかは地域ごとに異なるという。必要に応じて年俸制を取り入れるなど、給与体系も施設によって柔軟に変えている。

さらに、突発的な人材不足に備え、法人直属で職員が20名在籍。介護福祉士の資格を有し、スポット的に短期間法人の施設に勤務できるスタッフを揃えている。「法人の中に人材派遣会社を作っているイメージ」と素花理事長。

 

「人口3万人の故郷、対馬より人口が多い所であればどこでも事業展開する」姿勢で積極的にエリア拡大を進める。20年前に90名だった職員は、現在1000名に上る。5年後には職員を2000名に増やし、年間収益100億円到達を目指す。

 

運営する埼玉県川口市の特養「孝の季苑」

 

 

神戸で複合施設 M&Aも視野に

 

社会福祉法人の事業承継など、M&Aも視野に拠点を増やしていく構え。グループ法人化の形ではなく「社会福祉法人あすか福祉会」として事業拡大しいくことを想定しているという。

 

「〝社会福祉法人は潰れない〞という前提は違うのではないかと考えている。利用者の声を反映しながら、朝礼暮改で変わり続ける組織である必要がある。マーケットで評価されているという視点を持ち、サービスの向上を図っていきたい」と素花理事長は語った。

 

 

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