一般社団法人日本訪問歯科協会(東京都千代田区)は2021年11月14日、「第21回日本訪問歯科医学会」をオンラインで開催した。
多職種連携による高齢者の食支援の在り方について様々な意見が交わされた。
プログラムは、シンポジウム、教育講演、特別講演の3部で構成。
シンポジウムは、東京歯科大学老年歯科補綴学講座の上田貴之主任教授を座長に、口腔機能の低下と栄養指導をテーマに行われた。

東京歯科大学
老年歯科補綴学講座
上田貴之主任教授
国立長寿医療研究センター老年内科の前田圭介医長は、「外来でできる栄養評価・栄養指導」の題で登壇。近年、低栄養診断にGLIM基準が活用されていることを紹介した。
GLIM基準では、患者のスクリーニングにMNA-SF(簡易栄養状態評価表)と呼ばれるツールを使用する。食事量、体重増減、日常の動作、ストレスの有無、精神・認知症の有無、BMIの6項目から分析を行うもので、医師に限らず誰もが活用できる点が特徴となっている。
教育講演は、愛媛県で在宅医療に取り組む、医療法人ゆうの森の永井康徳理事長が担当。
医療者は「人はいずれ、食べられなくなり亡くなる」ことを理解し、水分や栄養を体が受け付けない状態となる前の、本人の意思確認が重要であると語った。その上で、患者の「最期まで食べていたい」という思いを医師が尊重しなければならない、信頼関係を築きながら多職種で支援する必要があるとした。
特別講演では、医療法人社団LSM寺本内科歯科クリニックの寺本浩平理事長が、「訪問歯科診療における摂食嚥下障害を踏まえた食支援の実際」の題で登壇した。
寺本理事長は「口腔内はブラックボックスとなっている」として、様々な情報がそこから得られることを、事例を交えて解説。まずは患者に会い、口腔内を診ることが重要だとした。
また、患者の食事を診る際には、姿勢、食べるもの、食べ方の3点がポイントであると話した。