放課後等デイサービスなどの障害者支援事業を手がけるプレイン(大阪府茨木市)は、自分の子どもや兄弟姉妹などの介護をしている従業員を対象に、独自の「ケアラー休暇」を付与するなどの制度を2021年11月11日に開始した。福島有二社長に話を聞いた。

プレイン 福島有二社長
10日間の介護休暇も
――今回新たに始めた制度の内容を教えて下さい。
福島 対象は自分の子どもや兄弟姉妹、または配偶者や婚約者などを介護しているケアラー従業員です。
社内に「ケアラーコンシェルジュ」を配置して、適切な人・機関・組織につなぐなどの対応を行います。それ以外に、ライフプランに関する相談にも応じます。
例えば「仕事と介護のどちらを優先したいのか」などの意向をしっかり確認し、それに応じて働き方の調整を行います。また、親の介護と違い、ケアラーの年齢が若いことが多く、介護をしていることが結婚などに支障を来しているケースもあります。そうした相談にも対応します。加えて、最大10日間のケアラー休暇を与えます。
介護離職の問題若い世代も発生
――なぜ、このような制度を始めたのですか。
福島 当社は元々ケアラーの採用に力を入れており、現在は社員の約半数がケアラーです。近年、介護離職が大きな社会問題になっていますが、これまでは「40代・50代の人の問題」と捉えられていました。
しかし、子どもや兄弟姉妹の介護離職は30歳前後の若い従業員にも起こる問題です。社会人として大きく成長するこの時期の離職は会社にとっても、当人にとっても深刻な影響を与えます。
特に、当人にとっては介護の問題が解決したとしても、長期のブランクにより再就職が難しいなど、その後の人生に大きな影響を残します。こうした若いケアラーの問題を少しでも解決できればと考えました。
「ケアラー活躍」日本一の企業に
――若いケアラーを巡る問題には、どのような特徴がありますか。
福島 まず、「その年代の人に介護問題が発生している」ことを社会があまり認識しておらず、支援などの体制が十分でない点です。
近年は「ヤングケアラー」という言葉が知られるようになり、支援の動きも広がりつつありますが、ヤングケアラーの定義は18歳未満です。しかし18歳を過ぎた時点で介護の問題が解決するわけではありません。ケアラーであることは変わらないのに、支援対象の枠から外れてしまっているのが現実です。
次に、本人の意識です。特に兄弟姉妹が生まれつき介護を必要としている場合には、本人は物心ついたときから彼らを支える役目を果たしてきたケースが大半です。
「自分が支えるのは当たり前だ」という意識が強く、仕事と介護の両立や経済的な面で悩んでいても「自分が我慢すればいい」と考えてしまい、なかなか他人に相談しようとしません。その結果、無理をして、自分自身がつぶれてしまいます。
――今後の目標などがあれば教えて下さい。
福島 まず、当社が「ケアラーが日本一活躍できる会社」になることです。
また、現在企業に障害者の法定雇用率があるように、「ケアラーの雇用率」も定められ、その達成率が企業を評価する指標の一つになる社会を目指していきます。