「Welfare」のブランドで介護事業を展開するエースタイル(大阪市)は、4年前に女子硬式野球部を立ち上げた。働く場所を確保することで安心して野球に打ち込める環境を整えるだけでなく、引退後のセカンドキャリア支援にもつながる。具体的な活動内容を取材した。

 

 

企業保有チーム 関西は1つのみ

 

チーム名は「Welfare女子硬式野球部」。

創部1年目は全国をまわっての選手のスカウトなど準備に費やし、実質的な活動を始めて3年目。昨シーズンは関西の大学生以上のチームによるリーグで準優勝するなど着実に力をつけている。

 

ここ数年、競技人口が急増している女子硬式野球だが、チームは学校の部活動かクラブチームがほとんどで、企業がノンプロチームを保有するケースはまだまだ少ない。このため学校を卒業すると仕事との両立が難しく、野球を諦めなくてはならないケースも少なくない。

それに対し企業保有のチームであれば、その会社の従業員として収入は保証されるほか、練習時間・場所なども十分に確保できるというメリットがある。ちなみに関西ではWelfare女子硬式野球部は企業が保有するチームとしては唯一の存在だという。

 

 

現場で働きながら活動

 

現在の所属選手は11名。練習は原則として週2日。それ以外の日は介護スタッフとして現場で勤務しており、選手が希望すれば夜勤も行うという。

 

そして、選手にとって大きいのは、引退後のセカンドキャリアの支援の部分だ。自身もプロ野球選手としての経験を持つ杉本剛太監督が語る。
「女子野球選手の多くは20代半ばで現役を退きます。20代後半まで続けられる選手はほとんどいません。引退後の人生の方がずっと長いわけです。そこの部分をいかにサポートできるかがチームとして求められます」

 

実際にWelfare女子硬式野球部でも、入団したものの、故障などの様々な理由で退団する選手もいるという。しかし、その後も退職はせず、介護スタッフとして現場業務を続けるケースが大半だとか。
「近年は女子野球チームの数が急激に増えたこともあり、優秀な選手の獲得競争が激しくなっています。そうした中で、セカンドキャリア支援の部分を打ち出せることは非常に有利になるのではないかと思います。また退団後も介護の仕事を続けてくれれば、介護業界の人手不足の解消にもつながるでしょう」

 

 

⌘⌘ 選手インタビュー ⌘⌘

 

現在の野球選手としての環境や、今後のキャリアに対する考え方などについて、入団3年目の宇田蒼海選手(捕手)と入団2年目の石黒貴美子選手(二塁手)に話を聞いた。

 

宇田蒼海選手(右)と石黒貴美子選手(左)

 

――野球を始めたきっかけや、これまでのキャリアを教えて下さい。

宇田 小学2年生のときに野球をしていた弟の姿を見て興味を持ちました。友人が野球を始めたのをきっかけに私もチームに入り軟式野球を始めました。高校卒業後は就職を希望しており、野球と仕事の両方に打ち込める環境として、エースタイルに就職しました。

石黒 私も小学校2年生から始めました。野球をしていた兄の影響で男子のチームに入りボーイズリーグで活動してきました。高校卒業後は女子プロ野球選手となり、退団後にエースタイルに入社しました。

 

 

――現在は介護現場でも働いているそうですが、野球選手・アスリートとしての経験が活かせている部分はありますか。

宇田 大きな声で挨拶ができる、元気や体力があるのはアスリートである部分が大きいと思います。また、日頃のトレーニングを通じて体の動かし方を理解していることは、介助時などの無理な動きが原因のケガの予防につながっていると感じます。

石黒 野球はその時々で守備位置を変えたり、最適な攻撃方法を選択したりなど、状況に応じて即座に対応する能力が求められます。職場全体を俯瞰して今の状況を判断し、必要があればさっと体が動くのは野球の経験が大きいと思います。

 

 

――選手としての現役生活を終えた後の自身のキャリアについてはどう考えていますか。

宇田 介護の仕事は今後もニーズがなくなることがありません。できれば介護福祉士の資格をとり、体が動く限り介護の仕事を続けていきたいと考えています。

石黒 当初は排泄介助など介護の仕事に対する苦手意識もありましたが、今では世話好きな自分の性格に合っていると感じています。引退後は勉強する時間もできると思いますので、介護福祉士の資格取得に挑戦し、仕事を続けていきたいと思います。

 

 

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