愛知県豊田市は2021年11月29日より、紙オムツの下水道受け入れの可能性を検証するための社会実験に参加している。
市内の特別養護老人ホーム三九園で使用した紙オムツをLIXIL(東京都江東区)が開発した紙オムツ処理装置を使って処理し、下水道施設に与える影響などを調査する。
本実証実験は、介護や子育てにおける負担軽減を目的に国土交通省が実施するもの。
豊田市は、社会実験への協力可能都市として立候補し、実施都市に選ばれた。実施にあたり特養三九園に協力を依頼した。
LIXILが開発した紙オムツ処理装置は、投入された紙オムツを粉砕する「粉砕装置」と、固形物と水分を分離し、固形のオムツ成分を回収する「分離装置」からなる。オムツ成分が取り除かれたあとの水分は下水で処理される。
紙オムツ処理装置により、使用済み紙オムツの重量は3分の1に、容積は6分の1にまで減るという。分離装置は屋外に設置され、ゴミ出しも不要となる。また、臭気の抑制も可能となるという。
ゴミ捨てが不要に 介護職の負担軽減
「使用済み紙オムツには、介護施設の職員が臭気、保管場所や運搬に苦慮している状況がある。社会全体で考えていかなければならない喫緊の課題だ」と市の担当者。装置を導入し下水道受け入れが進めば、介護現場での負担軽減につながる。
豊田市は、本社会実験の社会的意義に賛同するとともに、今後の豊田市における下水道の付加価値向上に寄与すべく参加を決めた。
国土交通省は紙オムツの下水道処理装置として①紙オムツと汚物を分離する②紙オムツを粉砕してから汚物を分離、汚物のみ下水に流す③紙オムツを粉砕しそのまま下水道に流す、以上3タイプを指定している。LIXILの装置は②のタイプにあたる。