コロナ禍で「災い転じて福となす」新商品は増えて、介護施設や高齢者住宅でも利用者のちょっとした一言から「自粛のまま最期を迎えていただきたくない」という想いで企画され、入居者とスタッフがともに感動したアクティビティの話が聞こえてきます。
東京2020オリンピックでは、都内の特養で「ブルーインパルス五輪飛行の屋上見学会」が行われ、デイフロアへ動画を中継。大型テレビ前に集まったリクライニング型車いす使用の入居者の目には涙があり、「東京にいるんだよね」の声にスタッフは拍手しました。
夏祭りには、入居者の故郷の花火大会の映像を鑑賞しながら、かき氷や焼きモロコシを食べたり、数年前のスイカ割り動画を見ながらスイカのおやつなどがレジデンスと称する自立型ホームなどでも楽しまれています。
離れた家族の誕生会に入居者がオンライン参加する際のサポートはホームの生活サービスとして定着しています。世界遺産や重要文化財撮影は規制が厳しく難しいですが、NHKの「ヨーロッパトラムの旅」のように動画で旅気分は充分に味わえます。

バーチャルツアー例
「KEIKYU OPENTOP BUS 横浜」や「WOW RIDE」など現実と仮想空間をトリップするバスツアーも登場しています。動画で工場見学、店舗案内、コンサートやスポーツ録画、大自然や街歩きなどスポンサーへの売り込みが盛んです。
ゴーグル貸出価格は5日2万円など、身近になました。旅行費用でVRゴーグルを借りて楽しむほかに撮影オーダーの商品もあります。
旅とは縁遠い高齢者にとっては故郷の自然、駅舎や通学電車などの動画はかけがえのないものです。介護施設やシニアホームの夢プロジェクトがバーチャルツアーであったり、クラブ活動が鉄道ファンや温泉巡り、テレビ前で美術展や演劇鑑賞、アイドル追っかけやバーチャル新年会など明日にも叶いそうな新年です。
妻鹿由美子氏
2000年から高齢者住宅の研究、評価及び運営指導・コンサルティング業務、グローバル・ホープ・ケア株式会社アドバイザー(株式会社オフィスmega代表取締役)介護福祉経営士。