新潟市内で有料老人ホームなどを運営するサニーウィンググループは、介護保険事業のほかに保険外の御用聞きサービスなどを展開。元気な時から最期まで、高齢期の生活をワンストップで支えるサービスを展開することで差別化を図っている。

 

保険外で〝御用聞き〟〝移動販売

同グループは、有老、デイ、居宅介護支援事業所などを運営するメディカル・エージェンシー・ジャパン(新潟市)を中心に、社会福祉法人ウェルネス(新潟県見附市)、保険外サービスも提供するヘルスケア・エージェンシー・ジャパン(新潟市)など、7法人で構成する。
介護保険対象の事業では、住宅型有老3棟、サービス付き高齢者向け住宅2棟、デイサービス11事業所、訪問介護・看護などを運営。民家を利用した地域密着型デイなど、自宅のように過ごせる環境づくりに力を注ぐ。

 

様々なサービスを展開し、困りごとにワンストップで対応

 

 

保険外事業では、御用聞きサービスの「ひなた相談所」をはじめ、介護タクシー、移動販売、地域サロンの4事業を行う。保険外事業の柱であるひなた相談所では、会員制の安否確認サービスを提供。

月額2200円で、職員が自宅を訪ねて体調や室温チェックなどを行う安否確認に加えて、薬の飲み忘れがないかの確認や、ごみ捨てなどのサービスが無料で利用できる。

 

 

柔軟にサービス提供

会員向けの基本サービスとは別に、不用品・廃棄物の処理やハウスクリーニング、エアコンの取り付けなどの改修工事といった有料サービスも用意している点が特徴だ。ハウスクリーニングやエアコン設置などの高度な技術を必要とするものは、ひなた相談所が専門業者に外注して提供する。売上の一部をひなた相談所が仲介手数料として受け取る。

専門業者と協働することで、より幅広い「困りごと」への対応を可能にしている。現在、ひなた相談所は会員以外も含めて常時100名ほどが利用している。

 

皆川敬社長は、「訪問介護のヘルパーが、利用者が普段使っている自転車がパンクして困っていることを知ったとしても、現行の制度ではヘルパーの仕事は細かく決められており、直してあげることはできません。そこで、ヘルパーからひなた相談所に連絡すれば、利用者や家族の同意を得た上で修理ができます」と話す。

安否確認や訪問系サービスでの訪問が、ひなた相談所の「営業活動」にもなっているという。

 

メディカル・エージェンシー・ジャパン
皆川敬社長

 

 

また、移動販売事業は市中央区、西区を中心に、市営住宅、マンションの駐車場、寺院の境内、デイなど20ヵ所以上で実施している。介護福祉士の店長が、一人ひとりの状況に合わせた対応を行っている。

 

 

長期の利用者確保に貢献

利用者は、保険外サービスの利用から事業者との関係が始まり、加齢によるADL低下に合わせて、馴染みの事業者の介護保険適用サービスへと移っていくことができる。事業者側では、1人の利用者に対して、元気な時から看取りの段階までの長い期間サービスの提供が可能になる。実際に施設入居者の半分は、保険外サービスを利用していた人だ。

 

グループにおける介護保険適用サービスと保険外サービスの位置付け

 

同社は顧客に対して提供する価値は、「高齢者の困りごとをワンストップで解決できるサービス」であると設定。高齢者の「困ったときには何をどこに頼んだらいいのかわからない」というニーズに対応し差別化を図った。

「今後も、『介護』という市場ではなく、『高齢者の困りごと解決のワンストップサービス』という市場で事業を展開していく方針です」(皆川社長)

 

 

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