昨年12月21日、日本経済新聞の1面トップ記事「1人で4人介護可能に」が話題となった。記事は「規制改革推進会議で内閣府が改革を提起。現行基準を見直し、(介護者)1人で介護施設の入所者4人に対応可とする案を軸に調整する」とし、「古い規制を見直して生産性を向上することで費用の膨張を抑える重要性は高まっている」と結んだ。

「4対1」が既定路線と取られかねない一報に様々な反応があった。業界関係者に配置基準緩和について見解を聞いた。

 

サービス品質の担保、 課題か

 

内閣府 小林史明副大臣
介護報酬改定時、〈テクノロジーを導入して効率化したら人件費が下げられる〉となってはいけない。従来通りの報酬額を守りつつ、規制緩和を進めていくことが重要であると考える。(医療・介護WGでの発言より)

 

一般社団法人全国介護事業者連盟 斉藤正行理事長
生産性向上は目指すべきもので、人員基準緩和の議論の方向性には基本的に賛成である。ただし「サービス品質の定義」が明確でない現状、性急に結論を出すべきでない。LIFEをもとにエビデンスを収集し、サービスの質を下げない大前提のもとで、十分に議論する必要がある。

 

アライブメディケア 安田雄太社長
自社の有老では手厚い体制をとってきたが、ICT活用などで生産性を高める試験運用も行なっている。必要なものに注力すればより高いサービスが提供できるのではないか。基準緩和の議論には、基本的には賛成である。

 

社会福祉法人若竹大寿会 法人本部 山岡悦子副本部長
「生産性向上」の成果指標の1つが、人員配置である。その議論のためには共通の条件づけが必要。人員配置の是非ではなく、今後の介護サービスの提供方法を前向きに検討し、指標としての人員、基準を明確にする議論が必要と考える。

 

ライフケア・ホールディングス 大前直樹常務取締役
IoTや人員配置の生産性向上は、住宅型有老やサ高住でも必要である。高齢者福祉全体を見据えた横断的な制度設計を期待する。

 

社会福祉法人元気村グループ 佐々木亀一郎常務理事
人材不足の状況下、長期的に見て、事業者は4対1でもサービス提供できる体制を整えなければならない。サービスの質や業界イメージを低下させない、しっかりした基準を設けて欲しい。

 

社会福祉法人リガーレ暮らしの架け橋 山田尋志理事長
ICTなどの活用は効率化に寄与するが、それが高度な専門職を含めた人の関わりによる高齢者の尊厳への配慮や対応に置き換えられることはない。生産性向上議論には、人生の晩年の尊厳を損なう危うい側面がある。

 

 

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